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[News]1年未満保存の行政文書の廃棄凍結についての質問に「回答を控える」 大量廃棄再びか?

 1年未満保存の行政文書が問題になっていることを受けて、6月19日付で「1年未満保存文書の包括的廃棄同意について一時凍結し、公文書管理法の見直しを求める要望」を出し、その後、9月14日付で「保存期間1年未満の行政文書の廃棄に関する質問状」を出していました。期限までに回答がなかったことから、質問状を送った内閣府公文書管理課に電話で確認をしたところ、「検討したが、今回は回答を控えたい」との回答を得ました。

 簡単に背景をまとめると、次のようになります。

 1年未満保存の行政文書は①行政文書ファイル管理簿に登録されない、②ファイル管理簿による廃棄個別審査の対象にならない(1年以上は内閣府による廃棄審査が行われる)、③1年未満保存については2011年4月1日付の内閣総理大臣決定で包括的に廃棄に同意をしているので、随時廃棄が可能、という状況にあります。現在、公文書管理委員会で1年未満保存文書の基準の検討を行っており、行政文書管理ガイドラインに反映される見込みです。検討中の基準によれば、ガイドラインが改定され、各行政機関の規則等も改定されると、現在は1年未満保存としているものも、今後は1年以上の保存期間を設定しなければならないものも出てくることが見込まれます。

 これを踏まえて、少なくとも1年未満保存文書がこの間問題になっているのであるから、一時的に廃棄を凍結し、ガイドライン改定後の基準に合わせて、1年未満の行政文書であっても保存期間を設定していくべきと考え、要望書と質問状を出してきました。1年未満の廃棄は内閣総理大臣の決定によっていますので、それを一時凍結することで廃棄は回避は実行可能なことです。しかし、内閣府公文書管理課によると「回答を控える」ということですので、このまま1年未満について廃棄を続行するという意思表示がされたということになります。

 懸念されるのは、ガイドライン等が改定される前に、1年未満の文書の廃棄が進められることです。過去には、情報公開法施行前に行政文書を大量廃棄していたことが、情報公開クリアリングハウスの調査でわかっていますが、これも新たな制度の導入によるルールの変更がその原因の一端でした。具体的には、情報公開法施行令で文書管理の統一基準を設けたことにより、従来の各省庁の保存期間基準では永久保存という区分があったものを、上限が30年に変更になり、30年を経過していた永久保存文書が合法的に廃棄されていたことがわかったからです。

<情報公開法施行前の文書大量廃棄>

 永久保存文書は、国立公文書館等に移管をして歴史文書とすればよいのですが、移管するか否かは各省庁の判断に委ねられ、法的義務となっていませんでしたので、移管ではなく廃棄を選んだということです。また、保存期間の変更は長期保存文書以外にも及んでいますので、保有している文書を整理して廃棄できるものは廃棄したことで、情報公開法施行直前の大量廃棄を招きました。

 1年未満保存文書はどうかといえば、ガイドライン改定前であれば、文書を整理して廃棄するこことは各課レベルで進められるので、駆け込み的な整理・廃棄が行われることは避けられないのではないかと考えています。だからこそ、廃棄の一時凍結は政府が本気で1年未満保存問題に取り組もうとしているかの試金石なのではないかと思うのです。

 大量廃棄再び、ということにならないことを祈るよりまず質問だということで質問状を出しましたが、本当に神頼みになってしまいました。(三木由希子)

※メール版情報公開DIGEST第29号より転載