【要望】1年未満保存文書の包括的廃棄同意について一時凍結し、公文書管理法の見直しを求める要望

 南スーダン派遣PKO日報問題、森友学園への国有地売却の交渉記録はともに1年未満保存文書であることを理由に廃棄したが問題ないとされてきました。

 PKO日報はのちに、防衛省内の各署で発見されていますが、注意をしなければならないのは、原本は廃棄をして写しが見つかったとされていることです。1年未満の保存期間の行政文書は、軽微な廃棄をしても政府が説明責任を果たす観点から問題がないものだと考えていましたが、実は違ったというのがこの間明らかになったことです。

 この1年未満保存期間の行政文書は情報公開法施行以後存在していました。公文書管理法の施行により、行政文書の廃棄が各行政機関の判断だけでは行えず、内閣総理大臣の同意(実質的には内閣府による審査)が必要になりましたが、1年未満保存文書はこの廃棄審査がされていないということは、知られていました。この理由が、1年以上の保存期間がついていると行政文書ファイル管理簿に登録され、これをもとに廃棄審査を行っているからと説明を一般にされてきましたが、実は法律は行政文書はすべて、廃棄にあたっては内閣総理大臣の同意が必要と規定し、1年未満を例外としていないことが法規定等を精査してわかりました。

 そこで、改めて確認をしたところ、1年未満保存文書については、2011年4月1日付の内閣総理大臣決定で、包括的に廃棄に同意がされているという解釈のもと、各行政機関の判断、正確に言えば各担当課等の判断で廃棄がされていたことがわかりました。

 1年未満保存文書については、実態も不明なままで、このような状況のままで内閣総理大臣決定に基づき廃棄を続けることは極めて問題ということで、1年未満保存文書に対する包括的な廃棄の同意について凍結することを求める要望書を出しました。

 1年未満保存文書の包括的廃棄同意について一時凍結し、公文書管理法の見直しを求める要望

 なお、問題の内閣総理大臣は、最近以下に掲載されるようになりました。この決定は、公文書管理委員会にも報告されていないことを、情報公開クリアリングハウスでは内閣府への電話での問い合わせて確認をしています。また、この決定の情報提供を求めた情報公開クリアリングハウスに対して、内閣府は情報公開請求をしないと公開しないと主張し、やむを得ず情報公開請求をしていました。

 公文書等の管理に関する法律第8条第2項の同意の運用について(平成23年4月1日内閣総理大臣決定)

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