[特集:デジタル関連法案⑬] 情報公開請求 紙より高い電子文書のコピー代

 
 情報公開法は、開示された行政文書の写しの交付を受けるためには、手数料を納付しなければなりません。かかる費用は、以下のようなもの。

紙文書(白黒) 10円/枚
紙文書(カラー) 20円/枚
紙文書(PDFにしてCD-R等で交付) 10円/枚+媒体代(CD-Rだと1枚100円)
電子文書を電子文書で交付 210円/ファイル+媒体代(同上)


 電子文書として保存されている行政文書は、ファイル単位で写しの交付手数料を徴収することになっているので、これが高額化の原因です。たとえば、新型コロナ対応で官邸で行っているいわゆる「連絡会議」関係の記録の情報公開請求をすると、以下のような手数料が算定されてきました。

 【例1】
  紙文書 1,638枚(うちカラー992枚)
    白黒でコピー      16,380円
    白黒とカラーでコピー  26,300円
  電子ファイル  1,175ファイル
    電磁的記録でCD-Rに複写   246,850円

 また、国家安全保障会議の議事録は最初の一枚だけ部分開示されるのですが、その請求をすると1回ごとにファイルが分かれているので、紙と電子データで以下のような写しの交付手数料となります。

 【例2】
  紙文書  68枚
    白黒でコピー  680円
  電子ファイル   68ファイル
    電磁的記録でCD-Rに複写   14,380円

 
 デジタル化が推進され、公文書管理でも電子文書化を進めようという方向にありますが、情報公開法が現状のような手数料規定のままだと、電子化されるほど、文書は紙にコピーをしてもらった方が安くなるなんてことになりかねない状況になってきました。一つのファイルに白黒だと21枚以上、カラーだと11枚以上の枚数が含まれていると紙より電磁的記録の方がコピー代は安くなりますが、そもそもこれ自体が変ですよね。

 なお、写しの交付手数料は2005年4月に一度改正されており、紙文書は白黒が1枚20円から10円に値下げされ、カラーコピーは対応していなかったものをカラーコピーもできるようになりました。電磁的記録の写しは0.5MBごとに220円という手数料でした。当時、画像データを使ったファイルが増えて1ファイルの容量が大きくなり、時代的にも画像を圧縮するなどしてファイル容量を軽く今のような使い勝手でもなかったため、この時も電磁的記録の写しの交付手数料が高額化していました。

 そこでファイル単位の手数料に変更する改正が行われたわけですが、いずれの手数料の算定方法でもうまくいっていないし、合理的な手数料になるとは言えないです。デジタル化が促進した先に、情報公開法での文書公開が紙がデフォルトになる時代にこのままではなってしまいます。早急に、改正が必要です。(文責:三木由希子)

 


 

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