情報公開クリアリングハウスを原告としている森友学園交渉記録情報公開訴訟は、2017年5月17日に提訴し、まもなく3年目を迎えます。この間、2018年4月に廃棄したはずの交渉記録が存在することが明らかになり、同年6月の財務省の森友学園決裁文書改ざん当報告書で、交渉記録の廃棄が2017年2月の国会での質疑をきっかけに財務省内部で指示されて行われていたことも明らかになりました。
こうした変化を受けて、財務省と大阪航空局は、当初の交渉記録不存在決定を取り消し、一部公開の決定を行いました。この決定時点では、財務省内と財務省(近畿財務局)と大阪航空局、国交省内の協議・検討の記録は全部非公開とされていましたが、別の請求者による審査請求に対する情報公開・個人情報保護審査会の答申で、ごく一部の公開が求められ、さらに決定のやり直しが行われました。
この一連の決定のやり直しが2019年中にようやくすべて終わり、財務省と大阪航空局が非公開とする範囲が確定したことから、原告として訴えの変更を検討し、2月28日に変更申立てを行いました。
今後の訴訟は、以下の内容を争うものになります。非公開となっている財務省内、近畿財務局と大阪航空局、国交省内の協議・検討の記録は、これまで公開されていないものです。また、存在する交渉記録を不存在としただけでなく、情報公開クリアリングハウスの情報公開請求後に廃棄を内部で進めたことも明らかなので、国家賠償請求の金額も従前の50万円から300万円に拡張しました。次回の期日で、国側からの主張書面が出されることになっており、その主張が揃った段階でようやく本格的に原告としての主張・反論をすることになります。
〇訴え変更の概要
(1)以下の不開示処分の取り消しと開示義務付け請求
①財務省に対して、森友学園への国有地売却に関して近畿財務局と本省理財局の間の協議記録の内容
②財務省に対して、森友学園への国有地売却に関して近畿財務局と大阪航空局の間の協議の内容
③大阪航空局に対して、森友学園への国有地売却に関して近畿財務局と大阪航空局の間の協議記録の内容
④大阪航空局に対して、森友学園への国有地売却に関して本省航空局と大阪航空局の間の協議記録の内容
(2)国賠請求の金額を300万円に拡張
これまで、文書が存在するにもかかわらず不存在としたことに対して25万円と弁護士費用(5万円)の30万円を損賠外相請求
↓
①財務省及び国交省による悪質な隠ぺいに対する損害賠償請求として200万円
②財務省及び国土交通省による情報公開請求後の対象行政文書廃棄に対する損害賠償請求として25万円
③財務省が処分取消後の開示等決定の際に、不開示部分を黒塗りにした文書を特定し全部開示決定を行った違法行為に対する損害賠償請求として25万円
④弁護士費用として50万円