自治体議員の政務活動費 どう使われている?

 

※メール版情報公開DIGEST47号より一部転載

 統一地方選の前半戦が始まりました。

 4月7日投開票で、知事選、政令市市長選、都道府県議・政令市議会選挙が行われ、21日の投開票で市区町村長選、市区町村議会議員選があります。

 

政務活動費の使い方は議員の資質を示す?

 地方議会や地方議員で避けることのできない問題が、政務活動費です。

 2016年の富山県議会政務活動費不正使用問題などは記憶に新しいところですが、政務活動費の不正使用問題は20年以上前から繰り返し発覚する古くて新しいものであるとともに、使途について情報公開されるようになっても、一向になくならない問題です。

 領収書が公開されるようになっても政務活動費の不正使用問題がなくならない。これは一体何なのか。情報公開されるということは、問題のある使い方をしていると発覚するリスクを負うので、不正使用を抑止する効果が生じるはずで、以前よりは使途の「適正化」は進んでいるはずです。しかし、少なくない議員が不正使用をしているのは、情報公開してもどうせ見ていない、気づかないだろうという程度の認識の現れでしょう。

 しかし、この問題は少し引いた目線で見てみると、不正使用かだけでなく不正かどうかは別に政務活動費という公金をどう使っているかにで、議員や会派、政党の資質が見えてくる一面があるのではないか。政務活動費の不正使用をする議員は、公金の使途に対して不正使用とまではいかないまでも、誰かの都合や便宜に使われることに対して、容認的になってもおかしくないでしょう。そこから、不正使用しなければよいだけでなく、政務活動費をどう使っているかは、その議員の資質や性質をそれなりに示すことになるのではないかという仮説が生まれました。

 不正使用かどうかの調査は難しいですが、政務活動費をどのような費目に使っているのかをまとめた収支報告書は、多くの地方議会で公表されています。また、会計帳簿と領収書をインターネットで公表している地方議会もあります。世田谷区議会は、この三点セットを公表している議会です。そこで、2017年度の収支報告書の費目で比較をしてみました。

 

世田谷区議会議員の政務活動費の支出傾向

 
 世田谷区議会は、会派で受け取るか、議員個人が受け取るかが選択でき、公明党(10人)、日本共産党(5人)、世田谷・生活者ネットワーク(2人)が会派で受け取り、残りは議員個人が受け取っています。収支報告書の支出項目を比較すると、次のようなグラフになりました。ちなみに、世田谷区は年間議員一人当たり2,880,000円の政務活動費が支給されています。

 

※世田谷区議会のウェブサイトでの掲載順。会派名は2019年3月末時点での会派を記載しています。
※なお、グラフが空欄になっている議員は、政務活動費の交付は受けているものの支出しないという方針で全額返還している議員

 
 会派・議員ごとに支出項目の占める割合に違いがあります。また、支出項目は政務活動費交付条例で定められているものですが(地方自治法の改正で政務活動費を支出している地方議会はすべて条例で規定)、「要請・陳情活動費」「会議費」の支出がほとんどないのは、すべてに共通していました。

 この支出項目の内訳を会計帳簿を眺めてみると、これもまた面白いことがわかります。

 公明党は広報広聴費の支出割合が高いのですが、このほとんどが実は交通費。公明党だけでなく、自民党系の議員を中心に、議員の中には広報広聴費として交通費(タクシー代や駐車場代、ガソリン代を含む)支出をしているところ目立ちます。同じ自民党系でも、調査費の割合が高い場合は、交通費をこの項目から支出している議員が少なからずいました。一方で、交通費は視察のような調査以外に支出をしていない議員も相当数おり、概して保守系以外の議員でその傾向が目立ちます。

 また、ある議員は年度初めの4・5月で240万円以上支出。広報用のポスティング、折込、送料が支出のほとんどを占めていました。これらはもちろん広報広聴費で出ています。方や交通費、こちらは広報紙の配布コスト。同じ広報広聴費でも使い方が大きく異なります。調査費も同じで、もっぱら交通費に支出している議員がいる一方で、資料の購入や勉強会などにあてている議員がいたりで、その実質はさまざま。

 

固定的費用がほとんどの多い議員も

 支出の仕方も、ほとんど支出パターンの決まっている議員もいます。ある議員は毎月ホームページの維持管理費4万円、事務所の賃借料約8万円、人件費5万円を支払っていますので、固定費で200万円以上を支出。しかもこの議員のホームページは、議会ごとに行った答弁の動画へのリンク程度の更新しかされていないようで、これに月額4万円という何とも微妙な支出。同じように、毎月4万円以上をホームページとSNSの維持費として支出している議員を見ると、ホームページの更新はブログを入れても月2~3回、ホームページでリンクされているFacebookは2016年で更新が止まり、Twitterは更新されていますがご本人がつぶやいている感じ。これもまた微妙な支出です。

 だいたい、人件費、事務所費で固定的な一定の支出があったり、広報広聴費で1回に数十万円単位で使っている議員は、それ以外の支出が少ないので日常的な活動状況が政務活動費からは見えないので、どの程度議員活動が動いているのかがより分かりにくい傾向にあります。また、3月に広報広聴費で送料も含めて100万円近く使っている議員もいたりで、支出の仕方や実質はそれぞれ。

 今の地域政治の課題を伝えるための広報紙を議員が発行すること自体はよいと思うのですが、広報にもっぱら政務活動費を使っていると、自己アピールには熱心だけど政策活動に使っていないというふうに見えてしまいます。自治体の予算に対してこういう議員がどういうスタンスで何をしているのかは、関心を引くところです。

 会計帳簿を見ていておっと思ったのは、日本共産党。常勤雇用を1名雇っていると思われ、雇用者負担分の社会保険料が支払われていること。義務なので当然ですが、あまり政務活動費の支出でお目にかかることのない支出です。他の会派や議員は、社会保障費が発生するほど人件費を支払っていないからだけなのですが(自民党会派だけ労働保険が一時期発生していた形跡はある)、目を引きました。

 

政務活動費の使い方の質を上げる

 疑問は大いにあるものの不正支出を見抜く、というところまでなかなかいきませんが、政務活動費の使途を見ると、議員としての資質や傾向、どのように公金を活用して公共のために仕事をする人であるのかの一端が垣間見えるように思います。不正使用だけでなく、どういう使い方が望ましいのか、どういう使い方をしている議員や会派を評価すべきかなど、議員の活動の質を上げることを、公開されている情報を活用して試みることも必要です。政策研究や地域課題と向き合うために政務活動費を使っている議員が、評価されるようになるべきです。

 皆さんも、お住まいに自治体の政務活動費について、収支報告書をグラフ化して、傾向を比較してみませんか?会計帳簿や領収書は公表されている場合は、実際何に使っているのかを調べてみませんか?世田谷区は、残念ながら会計帳簿は紙文書をPDF化したものなので、データとして十分に分析できず、傾向をざっと眺めただけですが、いろいろ発見がありました。

 こんなグラフになった、こんな傾向があったなど、ぜひ情報をお寄せください。情報公開クリアリングハウスのウェブサイトでもご紹介していきたいと思います。グラフ化の方法や、どう資料を見るのかについては、お問い合わせください。

 

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