[ブログ] 加計学園関係での記憶にない面会についての柳瀬経産審議官のコメントが微妙すぎる

 面会をしたかどうかについて、「会った記憶がない」と昨年7月の国会で答弁した柳瀬元首相秘書官(現経産審議官)。会ったことすら否定する中で、愛媛県に面会記録が残っていたという報道を受けて、柳瀬氏がコメントを発表している。

 柳瀬氏のコメント全文=加計学園(時事通信)

 面会があったとされるのは、2015年4月2日。その時の状況認識について、コメントでは以下のように述べている。

50年余り認められていなかった獣医学部の新設がどうなるかという制度論が議論されており、制度を具体的にどこに適用するかという段階ではありませんでした。実際、その後、獣医学部新設を追加規制改革項目として、とり上げるかどうかについては、いわゆる「石破四原則」の決定により、検討が開始されることになり、翌年の2016年11月に、獣医学部新設が国家戦略特区の追加規制改革事項として、決定されたと認識しています。

 獣医学部新設の国家戦略特区決定までの準備経過を見ると、以下のような時系列になります。ちなみに、もともと特区で獣医学部という話を持ち出したのは、新潟市。新潟市の検討事項にしたいという意向を受けて、関係省庁ヒアリングが始まっています。

<獣医学部新設をめぐる経過>

2014/8/5 関係省庁ヒアリング
2014/8/19 関係省庁ヒアリング
2014/12/26 関係省庁ヒアリング
2015/1/9 関係省庁ヒアリング
2015/2/3 関係省庁ヒアリング
2015/4/2 愛媛県・今治市・内閣府・首相秘書官面談
2015/6/5 愛媛県・今治市提案ヒアリング
2015/6/8 関係省庁ヒアリング
2015/12/25 愛媛県・今治市提案ヒアリング
2016/9/16 関係省庁ヒアリング
2016/10/17 京都府、京都産業大学ヒアリング
2017/1/4 特区認定
2017/1/20 加計学園に決定

 2015年4月2日は、ちょうど関係省庁ヒアリングと提案ヒアリングの間。時期的には、関係省庁ヒアリングを5回行っていて、6月の提案後には2回しか関係省庁ヒアリングをしていないので、水面下でいろいろ協議等が行われていたとしても、内閣府的にはだいたい見通しがついていたってことではないのかと思う。確かに、特区認定は半年以上先ではあるが、この時期に面会していたとしても「制度を具体的にどこに適用するかという段階ではありませんでした。」とコメントされても、微妙すぎる話で、時系列から見るとまったく別の状況に見える。

 加計学園問題は、もとをただせば、①内閣府や官邸側に協議や面会、指示内容についての記録まったくない、②官邸への入館記録がない、ことが問題が長期化する原因の一つ。それに加えて、首相秘書官は自分のスケジュールや日程表の類は作成していないらしい、あるいは作成していてもさっさと廃棄しているらしいことがわかったのが、今回の一件。首相秘書官に誰がアクセスしているかは、権力へのアクセスなのだから公開するかは別にして記録は残しておかないとおかしい。この首相秘書官に日程表があるのかどうかは、現在情報公開請求中でまだ決定が出ていないのでこちらとしても把握できていない。

 ただ、首相や官房長官、政務三役、これらの秘書官、幹部職員の日程表のようなものが、大変軽んじられどんどん廃棄されているようであることは、以下にまとめたので、関心のある方はご一読ください。(三木由希子)

 「佐川氏の日程は1日で廃棄」情報公開請求でわかった衝撃の実態 もはや社会的悲劇と言っていい…(現代ビジネス)

※2015年4月2日を10日と誤記していたのを修正