[ブログ]森友学園 契約決裁文書の書き換えなんてたちが悪すぎる

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 朝日新聞が報じた、森友学園への国有地の貸付と売却の契約決裁文書に書き換えがあるという問題。報道機関がニュースとして出すとき、それなりの確信があって報道するわけなので、書き換えが行われてたとみるべきだろう。

 ただ、財務省は6日までに調査をして報告をするとしているので、ここで財務省が書き換え前の文書が過去にあったものであると認めないと、加計学園問題の時のように真贋論争に多くの時間が費やされることになる。

 加計学園問題の時は、①前事務次官が実名で証言、②実際にファイルが共有サーバで一部発見、個人管理文書としても発見、③内部証言も複数、ということで勝負がついた感があったが、今回は決裁文書なので政府がどう出るか。とかく、文書の内容の正確性を問題にするのが現政権なので、何を言い出すか。

 この件があって、改めて財務省文書取扱規則を確認してみた(過去に情報公開請求で収集していたもの。行政文書管理規則とは違う)。文書取扱規則には、決裁や文書の収受の手順などが規定されている。各行政機関に同種の規則はあるが、読み比べると違いもあるが、基本的な枠組みは同じだ。

 財務省規則によると、

 「軽微な事案を除き、起案の趣旨、事案の概要及び起案に至るまでの経過を明らかにした要旨説明を案文の前に記載するとともに、重要と認められる部分又は問題点があるときは、要旨説明の中その他の適当な場所に明記する。」(13条3号)

 「簡易な事案の場合を除き、参考書類、参照条文及び新旧対照表その他事案を理解するために必要な資料を案文の後に添付するとともに、添付する書類の多い決裁文書には、添付物にそれぞれ見出しをつけ、又は添付物の前にその目次をつける」(13条4号)

 「決裁文書は、関係資料を一括し、容易に分離しないようとじる。」(13条7号)

とある。この規則は財務省本省分だが、規則は地方支分部局もこれに準じて規則等を定めることとも定めているので、地方財務局でも同じルールで決裁処理をしているはず。決裁文書には、事案の概要や経緯、「重要と認められる部分・問題点」が明記され、事案を理解するために必要な資料が添付されていなければならず、それは「一括し、容易に分離しないように閉とじる」ということになるので、森友学園との契約でも同様の文書が作られていることになる。

 決裁文書は、行政機関として意思決定して確定したことの「証拠」になるので、この文書は昔から管理されているし、いつどのような事案の決裁を行ったかということは、決裁番号がつけられて管理され、たいがい帳簿があってそこに記録されていく。組織として意思決定が終わった文書なので、その文書を後から書き換える、差し替えることは本来あり得ないはず。決裁を行った内容に重大な誤りがあることが後からわかれば、本来は決裁のやり直しをするべきものだろう。

 今回書き換えが問題になっているのは契約の決裁そのものではなく、それに至る経緯や事案の概要の説明などの部分のよう。決裁文書を構成する「なぜこういう契約になったのか」と「どういう契約内容か」ということでいうと、前者の部分を書き換えて差し換えていることになるのだろう。決裁文書に起案の書式があり、ここに紙文書での決裁だと決裁のラインにいる職員が押印していくので、この起案部分も含めて書き換えや差し換えをしていると、決裁ラインの職員が関与していることが明確になる。これは、書き換え前と後の文書の印影などを比較すれば、容易に判別がつく問題。

 ただ、起案文書に添付されている文書は、書き換えた上で差し換えることは、その気になれば容易だ。作り直したものを差し込んで元のものを廃棄すれば、外部の人間は後で情報公開されてもそのことに気づかないし、気づけない。これは決裁文書に限らず、あらゆる行政文書に同じことが言える。改ざんされても、差し替えられていても、一部を意図的にわからないように隠されても、外部の人間は内部情報を得ない限りは気づかないし気づけない。

 そして、決裁文書の書き換えは、文書の廃棄や非公開とは一段違う悪質さがあると思う。それは、意思決定の経緯や経過を、誰かにとって望ましい内容に書き換えているということだ。森友学園問題では、法律相談書が新たに明らかにされて以前よりは経緯が記録ベースで確認できるようになっているが、長期残るのは決裁文書の方。契約文書は30年、法律相談は5年保存だ。決裁文書しか後々残っていなければ、森友案件が本当はどいう経緯と由来なのか、財務省としてどういう案件として認識していたのかが、誰かにとって都合の良い情報に整理されてしか残っていないことになる。望ましい姿を行政文書にして残すことをしているに他ならない。

 加計学園問題の文科省文書を念頭に、行政文書管理ガイドラインが改正され、文科省文書の内容が不正確で信憑性に欠けることを問題とし、文書の正確性確保の措置として、複数職員による内容の確認と課長級の職員の確認が必須、さらに上級職員の指示があった文書の場合はその職員の確認が必須となり、打ち合わせの記録は正確性確保のため相手方に確認を求めることになった。このような改正は、公文書管理委員会で当時の松本文明副大臣の発言によると、加計学園問題から「後世に残っていた時に価値判断されると、誰かの恣意的な資料で検証判断されると、歴史をゆがめることになる。どう対応するのか。」という政治認識を背景にしている。

 森友学園の決裁文書は書き換えているならば、この言葉をそっくり財務省や現政権にお返ししたい。批判されそうな部分は事実であっても削除をし、無難な内容に書き換えるということは、後世の価値判断を操作し、歴史をゆがめることに他ならない。文書の正確性の確保という措置は、これを合法的に行う方法として定着していくことを避ける方法があるのだろうか、ということもまた、疑問である。文書の廃棄などを違った、きわめてたちの悪い問題だ。

 こうした問題は、正確性の確保の措置は公文書管理法の下で行われるのでその問題でもあるが、公文書管理法だけで解決する問題ではない。基本的に法律は、作成・取得された行政文書を整理・保存・管理するためのもので、少なくとも作成されなければならない文書を作成義務として定めているが、改ざん等を防止するような仕組みになっていない。公文書管理法でできるとすると、改正を行い処罰規定を設けて抑止効果を図るが、電子データ中心の文書管理に切り替えて、決裁の履歴や決裁後の修正等の履歴が残るようにするというシステムによって制御するかということになるだろ。現に、文書管理システムで電子決裁ができるようになっているのだから、それをデフォルトにするということでもよいだろう。

 それ以外は、基本的には改ざんなどはしないという前提で、発生した行政文書を管理する仕組みであるので、それを変えて改ざんを抑制するための規制等を入れると、発生する行政文書については手続等の形式要件の整備だけが進み、残る記録の形式化、形骸化が進む可能性があるので、規制強化はマイナスのインパクトを見定めて議論をした方が良いと思う。それより重要なのは、各行政機関の活動について、独立した立場から監察等を行う機能がなく、組織的問題を解決・是正する力が弱いというところへの対処を考えた方が良いと思う。

 森友学園問題では、財務省内での調査が、その場しのぎで、突っ込まれて回避できなくなった部分だけ行っていることが明白であり、その限りでしか会計検査院にも協力していなかった。財務省のやることがこういことだということが露呈している今、調査がどんな程度のものか予測がつくし、その程度だとしか思われないだろう。

 特に、今回の案件は、内部から情報を得ていることは明白で、このままいくと省内で「内部告発者」捜しが始まるだろう。最近公開された法律相談書を見ると、近畿財務局の現場レベルでは森友学園側の対応に不快感を持っていると思われるところがあり、現場レベルともっと高いレベルでの利益が一致しているとも思えない。そろそろ、財務省の内部調査から、独立した調査に切り替えるべきではないだろうか。(三木由希子)

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