今日(11月28日)の衆議院予算委員会で、財務省理財局長が平成25~28年度の間に売却金額を非公表とした公共随意契約による国有地の売却案件は、森友学園へのものだけだと答弁したと各紙などで報道されています。
首相“森友学園めぐる答弁を検証 売却手続きの見直し進める”(NHK)
売却額非公表、972件中森友のみ 取引は異例ずくめ(朝日新聞)
衆院予算委、野党が“森友”問題で追及(TBS)
森友学園への国有地売却は公共随意契約という方式で行われています。主に自治体や学校法人、社会福祉法人など公共目的での利用に国有地を入札によらずに売却する仕組みです。この公共随意契約による売却・貸与は「国有財産の売払等結果の公表について」で「契約済財産について、契約により確定した別紙4に掲げる情報を、契約後原則として1ヶ月以内に財務局等のウェブサイトにおいて公表することとする」とされています。
公表される項目は以下とされており、各財務局のホームページで一覧表になって定期的に公表されています。
・整理番号 ・所在地
・登記地目(建物付土地の場合は登記地目及び種類)
・面積(建物付土地の場合は土地面積及び建物面積)
・契約年月日 ・契約金額 ・契約相手方名
・用途 ・減額売払の有無 ・借地権の有無
・備考(価格の算定に当たって特殊要因を考慮した場合はその旨、その他参考となる事項)
森友学園問題が報じられるようになった2月上旬から、森友学園だけでなく各財務局での公共随意契約での売却等案件の実態がどうなっているのか確認するため、情報公開クリアリングハウスでは各財務局のホームページをあたって、2017年2月末までの時点で公表されていた公共随意契約案件のデータを統合して整理していました。各財務局ごとに公表期間やまとめ方がまちまちで、最大で2013年から2016年にかけての売却情報があり、627件のデータが公表されていました。
その中で、金額が非公表となっていたのは3件ありました。一つは近畿財務局の森友学園案件、二つ目が北海道財務局の平成25年7月2日に契約が締結されている公益法人への売却案件、3つ目が北陸財務局の平成25年2月26日付に契約が締結されている社会福祉法人への売却案件です。
この二つのうち、北海道財務局の案件は情報公開クリアリングハウスとして情報公開請求をしており、最終的には部分公開されましたが決定期間内に決定ができず、期間延長となりました。その理由が、「第三者意見照会の実施及び事務の繁忙のため」というもの。金額を非公表としているので、第三者照会をして相手方の意向を確認するという連絡も電話で事前にあり、要は、今年の6月時点でもなお非公表としていたわけです。
今日の財務省理財局長は、平成25~28年度の間の非公表案件は、森友学園のみと答弁しているのは真実ではない、ということになります。少なくとも、平成25年度には非公表案件が森友学園以外にあったわけです。すでに北海道財務局のホームページからは平成25年度分の公表データは削除され、平成27年度以降のデータのみ公表されているため、平成25年度中の非公表案件は確認ができなくなっていますし、法人名、売却金額ともに非公表のままホームページからデータを削除したことになります。
情報公開クリアリングハウスの請求に対して印影を除いて契約書が公開され、非公表していた法人は社会福祉法人清恵会で、売却金額は272,000,000円であることがわかりました。この社会福祉法人、九州に所在しているのですが、広島に施設を持ち、札幌に施設を建設するために国有地売却を受けていました。社会福祉法人の代表者と同姓同名の人が神奈川県内の疑惑が理由で大臣を辞任した衆議院議員に政治献金をしているのが見つかったりと、政治案件なのかとも邪推したりしますが、ともかく、非公表案件は森友案件だけでないのは確かです。
なぜ、財務省は森友案件だけが金額非公表案件だなどという答弁をしているのでしょうか。すでにホームページからデータを削除しているのでわからないと思ったから、変に非公表案件がほかにもあるとわかると問題にされるかもしれないからなど、いろいろ言い訳はありそうです。言えることは、こういう答弁を何のてらいもなくする財務省の情報公開は信用できない、どこを見れば信用に足りるのかがわからないということです。
ちなみに、金沢市内の案件はどこへの売却かなどの情報公開請求はしていないため、詳細は不明です。どなたかぜひ、請求をしてみてください。