近畿財務局に森友学園関係について情報公開請求をしてみたところ、請求対象文書が特定不能という、補正命令が郵送で送り付けられてきた。ちょっと面白いと社会実験モードに入ってる(笑)
近畿財務局から届いたのは、補正命令。情報公開請求書に書いた請求内容では請求対象文書が特定できないという。具体的には以下のような記載があった。
「貴殿から提出された開示請求書には上記の通り記載されていますが、現状のままでの記載では、開示請求文書の探索を特定するに足りる事項の記載が不十分であるため、該当文書の特定の探索は残念ながら不可能といわざるを得ません。つきましては、希望する行政文書を当方がが把握・特定できるように、請求する行政文書等の具体的な内容を別添の回答書にご記入の上、ご返送願います。」
情報公開請求書を出して、そこに書かれた請求内容では行政文書の特定ができないという場合は、行政機関から電話がかかってくることがある。話すと、確かに少し言葉を足さないと不明確だなということもあり、修正をすることも普通にあるので、基本的には電話で調整しながら確認をして最後は書面を修正するのが通常。補正命令が請求対象情報の補正でいきなり郵便のみで送り付けられてくることは、これまでの経験ではほとんど記憶にない。いきなり郵便で送りつけられる補正命令は、手数料の追加納付くらい。ついでに特定不可能といわれたこともこれまでの経験上ない。
そういうわけで長い情報公開請求の経験の中で初めて、請求対象文書特定不能という郵便が送り付けられた相手が、近畿財務局ということになった。しかも、請求対象は森友学園問題関係。請求内容は「森友学園への用地売却等に関する2017年1月までに取得されたもの」で、公表されているものなどですでに入手可能なものを除くものとしている。
この請求内容だと、特定不可能というのが近畿財務局の実態らしい。送り付けられてきた補正命令では、例えば2016年3月から2017年1月とするという例示がついてきた。そこで、電話で期間が特定されていないから特定不能なのか確認をしたところ、情報公開担当窓口と実際の文書を持っている窓口が別なので分からないという。
結局、電話で確認したところからなんで特定できないと言っているのかを私なりに理解すると、どうも、広い範囲の請求で後からこれも含むものだと難癖つけられるのが嫌だ、ということのよう。勢いでこちらの口を挟む隙を与えないかのように話し続ける電話先に苦笑しつつ、とにかく、期間が特定されていないから文書が特定できないのか、それともそれ以外のことも含めて特定するのに必要な請求内容になっていないのか、文書を持っている担当に確認してもらうことになった。
請求対象情報の補正や修正は、一般的によくあることだし、請求者は手探りでもあるので、特定できないなら情報提供を受けながら必要な修正・補正をするのもよくあること。そうした中でも、例えばある行政機関は、請求対象として特定した行政文書を請求対象情報とするよう補正を求めてくるなど、ときどき??な運用もある。これは、請求者に請求対象となる行政文書の特定をさせて、行政機関による文書の特定ではなく、請求者がこう特定したという形式を整える補正・修正の求めなので、もちろん、私は普通は応じない。文書の特定は行政機関の責任ですよねとお断りし、特定が不十分なのであれは必要な範囲で追記などはするという話をすることになる。
情報公開請求をめぐっては、例えば「○○一切の文書」などとの請求で、請求対象の行政文書の特定が不十分と紛争になる例はたくさんある。ここに解釈の余地があるので、どこまで含むのかは、確かに包括的な請求では請求段階でよく協議や調整をしないと、もめごとになることはある。よく調整したうえで、必要があれば修正・補正をすればよい。しかし、その大前提は、文書を保有している行政機関が、こういう種類の文書があるとか、こちらの知りたい範囲が何かを確認してその場合はこう書けば特定可能とか、あるいはこういう文書類があるなどとの情報提供をすること。
近畿財務局は、電話の感じだと、送り付けてきた補正命令で補正の例として「2016年3月から2017年1月」などと書いたことが、情報提供だという認識のよう。私の知っている情報公開請求の手続での補正時の情報提供とはずいぶん違うなあと思いつつ、いつもたいがい霞が関界隈しか情報公開請求をしていないので、地方部局に行くともしかしたらどこもこんなものなのかもしれないとも思っている。ときどき、地方にも請求をしないと、どんな運用実態にあるのか見えてこないなとも実感。行政文書ファイル等は、管理簿ベースだと圧倒的多数が地方部局等に保管されているので、重要な課題だと再認識。(三木由希子)