最高裁での原発訴訟などの研究会の資料

 福島第一原子力発電所の事故後、原発訴訟のあり方について最高裁が研究会を開催したとの報道があった。


 原発安全性、本格審査を 最高裁研究会、福島事故踏まえ改革論(日経 2012年8月31日)

 どのような検討が行われたのか、最高裁に情報公開を求めて公開されたのが以下の掲載文書。

 資料を見ると、司法研修所が行っている定例と思われる「特別研究会」で、「複雑困難訴訟の適正な事件処理に資するため、実体法及び訴訟運営の観点から、研究、討議を行う」となっている。「複雑困難訴訟」の中に、原発訴訟も含まれているが、それだけのための研究会ではないことがわかる。

 平成23年度は原発訴訟への原発事故の影響についての検討のほか、諫早湾開聞請求訴訟等の公共事業関係の訴訟、製材的な被害者が多数存在する訴訟、複雑困難訴訟全般にかかわる問題がテーマになっている。

 平成24年度は、 原発訴訟関係、大規模訴訟、意見陳述にかかわる問題がテーマ。

 研究会には、各地の裁判官のほか、専門家として大学教授2名、弁護士1名、新聞社論説委員、法務省などが出席。法務省、裁判官以外は氏名が非公開とされたため、関与した人は不明だ。

 両年度ともに、論点項目がまとめられている。その論点に対して参加している裁判官から研究問題として提出された、「提出問題」「提出理由」「意見」(平成24年度分は「意見」がない)がまとめれた資料が作成されている。また平成24年度は、専門家によるパネルディスカッションも行われていた。
 
 原発訴訟について問題とされているのは、大枠でいえば、伊方原発最高裁判決の手法、原発事故を受けて考慮すべき点、設置基準などが政府内で検討中の場合の対応、中立な専門家不在という問題、専門的評価をどのように行うか、同種の訴訟での裁判所間の情報共有など。

 なお、平成25年度については文書が特定されなかったため、原発訴訟はテーマに取り上げられていないものと思われる。

 詳しい内容は、以下の情報公開文書を参照。

【情報公開文書】

○平成23年度
 平成23年度特別研究会(第7回、複雑困難訴訟)の実施について(通知)ほか
 平成23年度特別研究会 共同研究会「民事裁判の現代社会における役割」論点項目
 平成23年度特別研究会 研究問題(共同研究「民事裁判の現代社会における役割」

○平成24年度
 平成24年度特別研究会(第9回、複雑困難訴訟)の実施について(通知)など
 平成24年度特別研究会 研究問題(共同研究「複雑困難訴訟をめぐって」)

 平成24年度特別研究会 共同研究「複雑困難訴訟をめぐって」論点項目
 平成24年度特別研究会 共同研究(パネルディスカッション)「複雑困難訴訟をめぐって」結果概要

開示請求 2014年4月3日付 開示決定 2014年5月2日付 決定者 最高裁事務総局秘書課長 決定内容 全部開示