「事故初期のヨウ素等短半減期による内部被ばく線量評価調査」成果報告書等

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 環境省から放医研に委託して行われた、「事故初期のヨウ素等短半減期による内部被ばく線量評価調査」に関する報告書と、調査の実施に際して開催された専門委員会の資料等が、情報公開請求により公開された。

 この調査は、「福島県民の外部被ばく線量及びセシウムからの内部被ばく線量の推計が進められ、現時点で過度な被ばくを受けた人の可能性が低いことが示唆された。残る課題は、放射性ヨウ素に代表される短半減期核種による事故初期における内部被ばく線量(特に、甲状腺等価線量)の推計である」ので、事故初期の実測データを可能な限り探索、集約して事故初期の内部被ばく線量の再構築をするということが主目的のよう。再構築には、①個人計測値に基づく方法、②大気拡散シュミレーションに基づく方法を用いたが、①で甲状腺計測データが極めて限られているため、ホールボディ―カウンターの測定から得られた実行線量の結果を活用することにしたとのこと。WBCはセシウムの線量を計測しているが、ヨウ素による内部被ばく線量を間接的に推計できるとしている。

 この調査では、事故初期の内部被ばく線量を推計するための有効な手法を検討してその評価制度を検証することを行い、福島県内各地域の住民に対する代表値を算定するものの、個人ごとの線量評価は行わないとしている。この調査で実測データとして探索されたものは、以下のもの。

<個人計測>

  1.  2011年3月24~30日にかけていわき市、川俣町、飯舘村で15歳以下の子どもに実施された小児甲状腺被ばくスクリーニング検査(原子力災害対策本部)
  2.  2011年4月12~16日に浪江町住民に対して行われた小児甲状腺被ばくスクリーニング検査(弘前大学)
  3.  事故対応職員と県外避難者等のホールボディ―カウンターによる測定(長崎大)
  4.  事故初動対応職員のWBC計測(日本原子力研究開発機構)
  5.  2011年6月27日~7月16日にかけて浪江町、飯舘村、川俣町(山木屋地区)住民の内部被ばく検査(WBC、ハイオアッセイ(尿))(放医研)
  6.  2011年7月11日~2012年1月末までに福島県民に対して行ったWBC検査(原子力機構)
  7.  福島県外で実施されたWBC検査、福島県内の先行して市町村で実施されたWBC検査
<環境モニタリング>
 1. 大気中放射性ヨウ素の継続的なモニタリングは、福島第一、第二原発敷地外では
   実測データは福島県外のみ
    報告書では福島第一、第二原子力発電所、日本原子力研究機構(核燃料サイクル
    工学研究所、原子力科学研究所、大洗研究開発センター)のデータを用いている
 2. ヨウ素の大気中濃度比
    報告書では、日本原子力研究開発機構、核燃料サイクル工学研究所、国立環境
    研究所の測定データを用いている
 3.ヨウ素の地表沈着比
    文科省のモニタリングの情報を用いている
 4.ヨウ素以外の短半減期核種
    Te132(テルル)

 これらのデータを踏まえて線量推計を行い、内部被ばく評価システムを開発。富岡町、大熊町、双葉町、楢葉町、浪江町、田村市、南相馬市、広野町、川内村、葛尾村、飯舘村、川俣町の代表的行動パターンから線量評価を行っている。このシステムでだされた内部被ばく線量を、WBC測定から得られた実効線量と比較したところでは、比較的数値が近いもの、不一致のものとがあったとなっている。

 なお、調査の途中で放射性核種の濃度マップの整備は、放医研から原子力機構に再委託されることになった。

 飲食物の経口摂取については、飲食物中の放射能濃度の計測が事故後1週間経過後であり、諸条件から集団の代表値の推計は難しいと結論している。

 今後は、個人計測の検証・データベース化、人及び環境におけるヨウ素/セシウム比の検証、個人行動情報と個人計測のリンク、課題として挙げている。

 なお、この調査に際して設けられた専門委員会のメンバー等は以下の通り(第1回専門委員会資料より)。

中村尚司(東北大学名誉教授)、鈴木元(国際医療福祉大クリニック院長)、大津留晶(福島県立医科大教授)、梶本光廣(原子力安全基盤機構原子力システム安全部次長)、高橋知之(京都大学原子炉実験所准教授)、永井晴康(日本原子力研究開発機構)、伴信彦(東京医療保健大学教授)、細井義夫(広島大学現場気宇放射線医科学研究所教授)、本間俊充(日本原子力研究開発機構安全研究センター長)、村松康行(学習院大学教授)、百瀬琢磨(日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所)、山口武憲(日本原子力研究開発機構原子力科学研究所)、山澤弘実(名古屋大学教授)

拡散シュミレーション検討委員会  委員長 山澤弘実(名古屋大学教授)
線量評価検討委員会 委員長 百瀬琢磨
                (日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所)
経口摂取検討委員会 委員長 山口一郎(国立保健医療科学院生活環境研究部)
データ検証検討委員会 委員長 不明



【情報公開文書】

「事故初期のヨウ素等短半減期核種による内部被ばく線量評価調査」報告書
   付録 スライド集(第2回NIRS国際シンポジウム、KEK環境放射能研究会)
       専門委員会/検討委員会の会合記録
       環境モニタリングデータ集

第1回専門委員会資料(2012年5月29日)
第2回専門委員会資料(2012年10月16日)
第3回専門委員会資料(2013年1月8日)


 
開示請求 2013年6月4日付
開示決定 2013年8月2日付
決定者 環境大臣
決定内容 一部開示



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