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[News]桜を見る会の名簿が1年未満の保存期間と明示されたのは2019年10月28日から それ以前の1年未満で廃棄の根拠は不明確

 
 2019年11月13日に開かれた「桜を見る会」野党合同ヒアリングで、内閣府大臣官房総務課長が説明した公文書管理法に関する説明によると、桜を見る会の招待者名簿の保存期間が1年未満であることについて、以下のような趣旨の説明をしています。

  • 内閣府行政文書管理規則16条6項7号に該当

第6条 6 第3項の保存期間の設定において、前2項の規定に該当するものを除き、次に掲げる類型に該当する行政文書の保存期間を1年未満とすることができる。
(1) 別途、正本・原本が管理されている行政文書の写し
(2) 定型的・日常的な業務連絡、日程表等
(3) 出版物や公表物を編集した文書
(4) 本府の所掌事務に関する事実関係の問合せへの応答
(5) 明白な誤り等の客観的な正確性の観点から利用に適さなくなった文書
(6) 意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして、長期間の保存を要しないと判断される文書
(7) 保存期間表において、保存期間を1年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書

  •  「保存期間表」には「関係行政機関等に協力して行う行事等の案内の発送等」を1年未満としている
  •  関係行政機関等と協力して行う案内の発送。各省庁から集めて取りまとめたものの発送。会が終了したら不要ということで廃棄するということでこのカテゴリーに入れている
  •  1年未満となったのは、2017年12月の行政文書管理ガイドラインの改正で保存期間が統一化されたことを受けて、2018年4月1日に1年未満とした

 しかし、この説明は明確な誤りを含んでいます。

 

1 保存期間表に「発送等」が入ったのは2019年10月28日以降

 下記のものは内閣府大臣官房人事課の保存期間表ですが、2018年4月1日現在の保存期間表には、「関係行政機関等に協力して行う行事等の案内の発送等」はありません。同じ欄には「他の行事等の推薦」と入っており、これの小分類として「平成○年桜を見る会」と示されています。

 この「他の行事等の推薦」の前の欄には、「園遊会、天皇誕生日当皇室行事の非招待者の推薦」「他の行事等の推薦」とあり、これは1年保存となっています。これについて、11月13日に野党合同ヒアリングで内閣府は、「内閣府が一府省として推薦をしているものが1年。行事等とは、内閣府が主催している行事、3.11追悼式、即位礼制定の儀などに内閣府として.一府省として推薦したもの」と説明しています。したがって、「その他の行事等の推薦」というのは、一府省としての内閣府が「桜を見る会」に推薦をしたものの情報の保存期間ということになります。

  この保存期間表は改訂され、2019年10月28日から適用分として「他の行事等の推薦」がなくなり、「関係行政機関等に協力して行う行事等の案内の発送等」を一年未満保存とする保存期間区分が出てきます。

 したがって、「関係行政機関等に協力して行う行事等の案内の発送等」を根拠に一年未満の保存期間という説明は2019年10月28日以降には成り立ち得ますが、それ以前は明確な根拠が保存期間表には存在しないことになります。廃棄そのものが適法とする政府の説明は、根拠に欠く状態です。
 

 

2 保存期間表で明示されていない1年未満保存文書の廃棄としても未公表

 保存期間表に記載がなくとも1年未満での廃棄が禁じられているわけではありませんが、内閣府行政文書管理規則23条4項は以下のように定めています。

第23条 4 文書管理者は、保存期間を1年未満とする行政文書ファイル等であって、第16条第6項各号に該当しないものについて、保存期間が満了し、廃棄しようとするときは、同条第4項、第5項及び第7項に該当しないかを確認した上で、廃棄するものとする。この場合、総括文書管理者は、あらかじめ定めた一定の期間の中で、本規定に基づき、どのような類型の行政文書ファイル等についていつ廃棄したのかを記録し、当該期間終了後速やかに一括して公表するものとする。

 内閣府において、2018年6月、9月と2回公表を行っていますが、いずれも該当なしとされており、保存期間表に明示のない1年未満保存期間による廃棄実績はないと公表されています。

 2018年6月公表分 https://www8.cao.go.jp/koukai/pdf/haikikiroku_h3006.pdf
 2018年9月公表分 https://www8.cao.go.jp/koukai/pdf/haikikiroku_h3009.pdf

 以上を踏まえると、「桜を見る会」の招待者名簿は、内閣府規則6条6項7号に基づき1年未満保存期間として用済み後廃棄とされていますが、同号に基づく1年未満保存期間として位置づけられたのは2019年10月28日から。同号に基づかず1年未満保存期間で廃棄していたとするとそのことが公表されているべきですがそれも行っていないということになります。したがって、桜を見る会の招待者名簿を1年未満の保存期間とすることや廃棄したことの根拠が不明確であると言わざるを得ません。

 なお、内閣官房大臣官房人事課に保存期間表の改定の経緯や改正前後の違いについて11月14日に電話で質問し、回答を求めているところです。

 

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