[レポート] 大臣の日程表が即日廃棄 公的な記録に残らない大臣の日々の動向

 
 情報公開クリアリングハウスは、この2年ほどの間に起こった公文書管理にかかわる様々な問題の原因の一つには、官邸や大臣に関する記録が欠落している、あるいは非常に薄いことがあるのではないかと考え、官邸や大臣に関する記録がどのように残されているのか、関心を持ち調べてきました。

 その一環として、大臣の動向を記録した日程表がどのように残されているのかを確認するため情報公開請求をしたところ、即日廃棄か極めて短期間で行政文書としては廃棄されていることがわかりました。

 【関連】大臣の日程表の廃棄を止めるため、情報公開請求費用のご支援をお願いします

 

1 情報公開請求とその結果
 
【請求対象情報(共通)】
 各大臣の2017年度及び2018年度(2月まで)の日程表ないしそれに類するもの
 
【決定】

*内閣府には、現内閣における、①国家公安委員会委員長、国土強靱化担当、内閣府特命担当大臣(防災)、②一億総活躍担当、行政改革担当、国家公務員制度担当、領土問題担当、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、消費者及び食品安全、少子化対策、海洋政策)、③情報通信技術(IT)政策担当、内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策)、④経済再生担当、全世代型社会保障改革担当、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、⑤内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革、男女共同参画)、女性活躍担当、まち・ひと・しごと創生担当、を含む
※なお、内閣総理大臣、官房長官の内閣総務官室における日程表及び防衛大臣の日程表については、請求に対する決定が延長されており、今回のリリースの範囲には含まれていない。なお、総理大臣、官房長官については内閣広報室が報道機関に提供している日程表があり、この日程表は3年保存であると思われるが、首相動静よりも情報量が少ない
※復興大臣については、請求日がずれてしまったため、これから決定

 

2 公文書管理法と日程表の関係
 

  • 2017年12月に改訂された行政文書管理ガイドラインにおいて、1年未満保存とできる行政文書として、「日程表」を例示している。
行政文書管理ガイドライン第4-3
(6) 1-(1)の保存期間の設定においては、 (4)及び(5)の規定に該当するものを除き、保存期間を 1 年未満とすることができる(例えば、次に掲げる類型に該当する文書。)。
(略)
② 定型的・日常的な業務連絡、日程表等
  • 日程表を1年未満としていることについて、ガイドラインの改正を検討した公文書管理委員会において、2017年11月8日、12月20日の会議で内閣府公文書管理課から以下の説明がされている
○2017年11月8日
 例えば何か突発的な、特別なイベントが起こった日の日程表、どちらかというとそういうものは、そもそもそのイベントの中で恐らく歴史公文書性を持ってきて、そもそも日程表も含めて1年以上になってくることもあろうかと思います

○2017年12月20日
 1つ目の○で、保存期間1年未満とし得る類型の中で、日程表等というものがございまして、特にこれにつきまして、政務三役のものなどにつきましては1年未満とする対象から外すべきではないかという御意見がございました。これにつきましては、今回、まず、歴史公文書等に当たるかどうか、歴史公文書等に当たらないにしても跡づけ、検証に必要ではないかという検証を行った上で、それに当たらないものが1年未満に該当するということでありますから、日程表の全てが直ちに1年未満となるというわけではありません。例えば大きな災害があった場合の日程でありますとか、重要法案の国会審議に係る日程等、そうした場合については、歴史公文書等あるいは跡づけ、検証が必要な資料として1年以上として保存しないといけない場合もあると考えてございます。かつ、これらは必ずしも政務三役の日程というだけではなくて、一般公務員も同じだと考えてございます。そういう必要があれば1年以上の保存を行っていくということであろうかと考えているものでございます。

  •  行政文書管理ガイドラインの改正を受けて、各行政機関の定める「行政文書管理規則」において、日程表を1年未満保存文書と規定している
  •  1年未満保存とは1日以上364日以下の範囲で不要となれば廃棄できる区分
  •  過去には、当法人の情報公開請求により国税庁長官の日程表が一日保存で廃棄されていたことがわかっている

 

3 大臣の日程表が不存在なのは問題
 
 1年未満保存期間であっても一定期間は残っているのではないかと考えていたが、2019年2月末までの日程表を得していて同年3月18日付で請求が受け付けられているので、約2週間後には少なくとも廃棄されていることが分かった。当法人から各省庁に電話して確認できた範囲では以下のような回答があり、ほぼ即日ないし随時極めて短期間で廃棄という扱いであることが分かった。

  外務省:役割が終わったときに随時廃棄
  農水省:保有していない。上書きしている
  環境省:即日廃棄
  法務省:決まっていないが随時廃棄
  経産省:役割が終わった時点で廃棄
  財務省:用務終了後に廃棄
  総務省:即日廃棄
  内閣府:即日廃棄
  厚労省:日程終了後に随時廃棄
  文科省:使用目的が済んだ時点で随時廃棄

 また国交省の決定通知記載の不開示理由には「事案終了後廃棄」とあり、これも即日廃棄であると理解できる。

 日程表が短期間で行政文書として廃棄することは、行政文書管理ガイドラインで日程表を1年未満保存と位置付けたことによって合法化されている。この日程表の扱いについては、ガイドライン改正の過程で行われたパブリックコメントでも異論が呈されたが、それに対しては1年未満でも問題がないとし、公文書管理委員会においてもそれを承認した。また、この日程表が1年未満保存であるということも含めた、

 当方法人で側聞しているところによると、大臣の日程表については国会議員としての事務所側と共有されており、国会議員事務所としては引き続き保有・管理されているようである。しかし、これらは「私文書」であって、行政文書ではない。

 国務大臣は国会議員でもあるが、大臣という立場を預かっている身であり、その立場において何をしたのかは、国会議員や個人としての情報ではなく、大臣という立場に関する情報である。

 大臣としてどのような人に会い、どこへ行き、どのような会合に参加をしたのかなどは、大臣という立場が濫用されていないか、大臣という立場にある者にどういう人々がアクセスしているのか、いつどのような情報を知り指示をしたのかということを示す重要な情報である。これらの情報が公的記録としては残されていないということは、権力が民主的統制のもとにおかれておらず、仮に私文書としてのみ残されているならば、それは権力や権限を持つ者の公的な立場に関する記録の私物化に他ならず、大きな問題と考えている。

 

4 今後の対応
 
 当法人としては、大臣の日程表については長期保存をすべきという意見をこれまで述べてきており、行政文書管理ガイドラインの改正を行うべきという見解である。しかし、ガイドラインが改正されない限り大臣の日程表が1年未満、しかも極めて短期間で廃棄されることを止められないことが想定される。

 そこで、廃棄できないようにするための取組みを予定している。

 情報公開請求の対象文書については、請求を受けた場合は保存期間が満了しても請求に対する決定から1年間は廃棄することが禁じられている。そこで、各大臣の日程表を毎日情報公開請求を行い、廃棄できないようにして、その間に大臣等の日程表をどのように行政文書として管理するのか、という議論を進めることを予定している。ただし、毎日開示請求しようとすると、年間で相当額を要するため、寄付等で資金を集め、集まった金額で対応できる範囲で開示請求を行う予定である。

 なお、すでに当法人では、首相官邸への入館予約届が一日保存で廃棄されていることを受けて、平日は毎日開示請求を行っている。

 

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