災害時要援護者情報の共有化実態調査

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■問題の概要
 2008年に入って大きな震災が続く中で、高齢者や障がい者等の災害時要援護者に関する個人情報の取扱いが注目を集めています。これらは安否確認や避難支援の役に立つ情報です。しかし、福祉担当課が保有する情報を防災担当課が「内部利用」することや、自治体が保有する情報を自主防災組織等の地域団体に「外部提供」するには、個人情報保護条例との調整が必要です。とりわけ「内部利用」や「外部提供」で共有化される情報は要援護者の健康状態に関する情報で、慎重に取り扱わなければなりません。こうした保護と利用との調整に自治体が悩み、共有化への取り組みが遅れているのです。

■ 制度の誤解に基づく過剰反応

誤解①:個人情報保護法が元凶との誤解
 あたかも個人情報保護法が災害時要援護者情報の共有化を妨げているかのような報道を時おり見かけます。しかし、共有化の対象となる個人情報は市区町村が保有するものなので、個人情報保護法は適用されず無関係です。過剰反応をメディア規制法である個人情報保護法への批判に結びつけたい・・・そんなマスコミの思いがミスリードを生み出したのかもしれません。
 ちなみに報道がよく引用する千葉県議会の意見書(外部リンク)は、「災害時要援護者の名簿が必要な行政機関および自主防災関係者に渡るよう個人情報保護法制度を改正すること」を求めています。意見書の趣旨は理解しますが、個人情報保護法を問題の原因とした点で、誤解といわざるを得ません。共有化の可否はあくまでも個人情報保護条例との関係で判断されます。

誤解②:現行条例では「できない」との誤解
 個人情報保護条例は個人情報の目的外の利用や外部提供を原則として禁止しています。そのため、福祉部局が保有する高齢者や障がい者等の情報を、防災部局や外部の自主防災組織等に提供することに条例上の疑義が生じます。しかし、条例は原則とともに例外を定めています。これを活用することで過剰反応を回避できます。
 たとえば、「本人の同意」がある場合、また、「本人の同意」を得られなくても、明らかに「本人の利益」になる場合、 「公益上の必要性」や「相当の理由」がある場合にも目的外の利用・提供ができます。条例を改正しなくても、現行の条例を正しく解釈運用することで、災害時要援護者情報の共有化は可能です。内閣府が2007年4月に公表した報告書「災害時要援護者対策の進め方について」(外部リンク)にも、条例を適切に解釈運用して共有化を進めてきた自治体の取り組みの事例が紹介されています。

■実態調査に協力しました
 この問題の現状と課題を把握し、共有化に向けた取り組みを促すため、現在、NPO「参加型システム研究所」(神奈川県横浜市)が自治体及び地域団体を対象に実態調査を行いました。この調査研究事業は神奈川県共同募金会の助成を受けて実施し、私たち「情報公開クリアリングハウス」も趣旨に賛同し、調査の実施、集計、分析に協力しています。
 なお、調査報告書のうちアンケートの結果概要と集計結果については、回答団体への報告を兼ねて以下に公表します。自治体及び町内会・自治会の皆様、ご回答ありがとうございました。調査報告書本体は、有償頒布です。NPO法人参加型システム研究所にお問い合わせください。

 ○自治体アンケートの結果(PDFファイル・394KB)
  対象:全国の市・特別区804団体
  回答:531団体(回答率66.0%)

 ○町内会・自治会アンケートの結果(PDFファイル・318KB)
  対象:横浜市内の町内会・自治会370団体
  回答:125団体(回答率33.8%)

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