総務省が設置していた「町村議会のあり方に関する研究会」は、速記録の作成を外部委託していたようで、納品を受けた速記録を議事要旨を作成するための個人メモだとして、不存在決定をしていると報道されています。
職員が複数人、速記録を確認していたことは認めていると記事中にありますが、それよりも、業務委託をして納品を受けた速記録が、個人メモになるということ自体がそもそもあり得ない話です。業務委託は総務省として行っているわけで、委託業務で納品を受ける対象も総務省です。この問題のボトムラインは、委託により納品を受けた文書がそもそも個人メモになり得るのか、という点であって、何人の職員が見た文書であるか、どこに保存されているかなどが本来行政文書性の判断に影響をしてはいけないと考えています。そこで、総務省に質問状を出しました。
この件は、このような解釈が許容されると極めて重大な問題になりますので、並行して情報公開請求も行い、妥当な対応を総務省ができない場合は、直ちに提訴することも検討しています。
2018年7月27日
総務大臣 野田 聖子 殿
委託事業者から納品を受けた速記録の行政文書性に関する質問状
特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
理事長 三木 由希子
当法人は、公的機関における知る権利の擁護と確立を目指して活動する特定非営利活動法人です。
先般、総務省が設置した「町村議会のあり方に関する研究会」について、外部事業者に委託して会議を録音し、議事内容の記録の作成をして納品を受けたと思われる速記録を、個人メモに該当するとして不存在決定を行ったことが、報道されました。野田大臣自身も「議事概要を作成するための参考メモで、組織的に用いるものとして保有していないから行政文書(公文書)に当たらない」と閣議後会見で述べたとされています(2018年7月25日毎日新聞)。
記事によると、複数の職員で見ているものの、議事概要を作成するための個人メモであるとのことです。しかしながら、速記録は外部委託して納品を受けているものと思われることから、総務大臣の認識は行政文書の定義の解釈をめぐり重大な問題を示しています。そこで、以下の点について質問いたしますで、8月10日までにご回答のほどをお願いいたします。
<質問>
- 「町村議会のあり方に関する研究会」の議事内容の速記録を委託事業者から納品を受けたことに間違いはないでしょうか
- 委託事業者名と委託した業務内容をご教示ください
- 当該研究会に限らず、総務省は、契約に基づき速記録の作成を委託した事業者から納品を受けた速記録は、総務省として納品を受けるのではなく、職員が個人的に納品を受るのでしょうか
- 総務省は、外部委託業務により納品を受けた文書類は、組織的に取得したという解釈をしていないのでしょうか
- 納品を総務省として契約に基づき組織に対して行うとしていた場合、個人メモとなる根拠は何でしょうか。
以上