愛媛県職員が作成したとする面会記録が朝日新聞で報道され、同じ日に東京新聞は政府関係者の話として同内容を報道。併せて読むと、どう見ても愛媛県からではなく、国側から出た文書と明らかに推測されるという微妙なこの頃。
その日のうちに、愛媛県知事が会見して説明し、知事が職員と直接話をし、職員が自分の作成の文書と認め、知事がそれを受けて職員作成と会見で認め、かつ作成した職員を全面的に信頼すると話したとのこと。組織の長として「まともだ」と思ってしまうのは、それ以外がひどすぎる状況だからでもある。
記者会見後に複数の方面から知事がこんな話をしていました、という話を聞いていたが、微妙に違っていて、結局よくわからないところが多かった。が、4月11日に知事会見要旨が愛媛県のホームページで公表されて、ようやくどんなやり取りがあったか理解できた。結局、9日の会見段階で、職員の個人メモ、保管義務がないと知事は説明をしていたが、記者との質疑の中で、明らかに矛盾しまくっていることが良くわかった。
知事の基本的な前提は、愛媛県職員の発言等は全部オープン、相手先(この場合は国)については制限がかかるから、職員の誰が面会に行ったかは公開、誰にあったかは非公開、だから発言内容なども非公開という認識。相手方については相手方が情報公開すればよいというご認識。これはこれで、情報公開条例との関係でこんなに単純化するのは問題ある発言だ。
文書の扱いについては、「備忘録」「保存義務がない」「作成した職員も所持していない」の3点が説明の基本。しかし、記者からの質問で全体をみるとまったくつじつまが合わない話になっている。
Q:知事に報告した職員本人が書いたものなのか
A:そうですQ:そのメモ自体をもとに、知事は説明を受けたということで。
A:そうです
知事が報告を受けていたかがはっきり確認されている2か所で、最初の方はちょっとあいまい。2回目は、面会文書をもとに報告を受けたと回答しているので、文書内容を聞いていたということ。文書内容は共有していたが、文書は共有していないから公文書はないというのは、本当は屁理屈の域だが、実際には良く国でも起こっているらしいという話を聞く。文書を物理的に共有しないで、口頭で説明をして文書の方は公文書化しないとすると、これは単なる脱法行為。愛媛県は、情報公開条例で公文書が定義されていて、少なくともその公文書は管理するルールになっているので、この状況で公文書ではないというのは完全にアウト。
Q:そのメモを享有した人物というのは、何人くらいいるのか。
A:どうなんですかね。担当するところでは回覧していると思いますので、当時、こんな状況だったということで。誰々ということは、ちょっとわからないですね。Q:そのうちの1人が、そういった話をされたと。もう1点、省庁にも渡すようなメモということで、これはメモという扱いで良いのか。公文書にはならないのか。
A:ならないですね。会議なんかの議事録で公文書になる場合はですね、例えばこういう会議でこういう決定がされたとか、そういう時は残っているときもあるかと思いますけれども、こういった状況説明とかそういうときはメモですね。だから、普通は口頭で説明を受けています。Q:知事としては、状況説明を示した書類は、公文書ではないという位置付けだということか。
A:そうですね。僕自身もそういったメモを作りますから。Q:それはいわゆる情報公開の対象にはならないのか。
A:と思います。廃棄してしまいますから。確認するための備忘録ですね。間違えないように確認しておくと。
職員間で回覧していれば、これも完全に公文書だし、回覧されていて、省庁に渡すような文書を個人メモだというのもあり得ない。しかも会議の議事録は残るけど、状況説明はメモって・・・。愛媛県情報公開条例の公文書の定義は、内容ではなく、組織的に用いられたかどうかが問題なので、ここも完全に知事がずれている。だから、情報公開請求の対象にならないという話になってしまうと、愛媛県の情報公開条例も公文書管理もかなり怪しい感じになる。
そして最後の方には、こんなやり取りが・・・
Q:先ほどの質問の繰り返しになるが、各省庁への説明に使うような、そういう書類が、いわゆる公文書ではなくて、メモだというのは、なかなか理解しづらいかなと思うが。
A:どっちにしても公文書も保存は1年で全部廃棄してしまいますので、3年前のものというのは、ほとんど残ってないですね。ですから、我々は、やはり決まり事、この会で何かが決まりました、こういうのはきっちりと残さないといけませんから、当然の事ながら公文書として記録しますけれども、その過程の状況説明とか、そういう段階においては、今はこんな段階なんですよというふうな報告になりますから、備忘録という形で口頭で説明するというふうな形にしてます。
公文書も保存が1年って、文書管理規程だと30年保存まであります、知事!この面会記録は、常識的に考えれば獣医学部の特区案件が終わってから保存期間を起算して保存する類の公文書のはず。
すでに、農水省から文書が見つかっているとのことなので、愛媛県文書が本物かどうかはどうでもよくなっていそうだけど、愛媛県の情報公開や公文書管理としては、かなり大問題な知事会見。加計学園問題が云々ではなく、また愛媛県知事は国よりましとかそういうものでもなく、これはこれで愛媛県の課題として取り組むべき。そうしないと、この認識が文書が作成・廃棄することが知事の解釈として、庁内でまかり通ってしまう。(三木由希子)