[意見・提案]森友学園交渉記録の廃棄についての佐川証人の証言に関する声明

 3月28日の佐川前国税庁長官の証人喚問での証言のうち、交渉記録廃棄についての証言は、従来の答弁から想定されていたものと異なる新しいものであり、当法人が係争中の森友学園交渉記録情報公開訴訟との関係でも重要な関心となるものでした。

 佐川前国税庁長官の証言を受けて、以下の声明を発表しました。


2018年3月27日

森友学園交渉記録の廃棄についての佐川証人の証言に関する声明

特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
理事長 三木 由希子

 本日、参議院予算委員会及び衆議院予算委員会で、佐川宣寿善国税庁長官に対する証人喚問において、森友学園との交渉記録について2017年2月24日の衆議院予算委員会で行い、そのもの継続して行った1年未満保存文書につき廃棄済みであるとの答弁に関連した証言を行いました。

 証言によると、森友学園との交渉記録について、実際の存否を確認せず、財務省行政文書管理規則の別表等で1年未満の保存期間であり、事案締結後に廃棄とされていることから、その規定について答弁し、それについて「丁寧さを欠いていた」と述べました。森友学園の交渉記録が実際に廃棄されていることが確認された上で答弁されていたと、従来は理解されていたところと思われますが、それを覆す新たな証言です。

 当法人は、2017年2月27日付で近畿財務局に、同年3月2日付で財務省にそれぞれ森友学園事案に関する交渉、協議、打合せ等に関する文書を情報公開請求し、財務省から4月5日付、近畿財務局から3月31日付でいずれも不存在決定を受けています。この不存在決定に対して、当法人は同年5月19日に不存在決定の取消を求める情報公開訴訟を提起し、現在係争中です。佐川証人の証言は、当法人が開示請求した段階で交渉記録に関する存否の確認を組織的に行っていなかったとも言えるものです。

 係争中の訴訟では、交渉記録の存否に関する求釈明に対し、被告国は紙文書の交渉記録の廃棄については財務省行政文書管理規則の規定を根拠にして廃棄済みであるとし、また、紙文書の廃棄に合わせて電子文書を削除したとすることが合理的に推測されると求釈明していますが、これも規則等の規定や運用を前提にした説明の域を出ていません。佐川証人の今日の証言で、交渉記録の存否についてはどの段階でどのように確認されたのかについて、ますます疑問が深まることになりました。

 改ざん前の調書が明らかにされましたが、少なくとも調書は決裁文書であるという位置づけから.組織的に確認され、認められる程度に整理しまとめたものであることに疑問の余地はありません。そのもとになった交渉記録は、決裁文書には反映できない詳細な情報を含むものであることもまた、疑問の余地はありません。当法人は、本日の佐川証人の証言も踏まえて、情報公開訴訟で交渉記録の存否について引き続き争うとともに、さらなる解明が国会及び報道等により進むことを期待します。

以上

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