[ブログ]行政文書管理ガイドライン改正案からの修正箇所をどう読むべきか…

 今日の公文書管理委員会では、行政文書管理ガイドライン改正案について、パブコメでの意見も踏まえて一部修正の上で了承されました。予定通り、年内に決定し、年明け以降にガイドライン改正内容を踏まえて各行政機関が行政文書管理規則の改正を順次行います。

 今日示された、パブコメ段階のガイドライン改正案からの修正内容は3点。いずれも情報公開クリアリングハウスで意見を出していた部分に関連するものなので、前の案より良いというところ。ただ、1つはどう読むべきかちょっと困る修正方法。それは、修正によって付け加えられた部分を単独で見ると理解できるものの、追加された箇所を考慮してみるとなんだこれは、という修正でう~ん、という感じ。

 修正で付け加えられたのは、文書の正確性確保に関する部分の留意事項。

〇「行政機関間の打ち合わせ等の記録の正確性を確保するにあたっては、各行政機関において、現在及び将来の国民に説明する責務を全うするようにするという法の目的に照らし、当該行政機関における経緯を含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、文書を作成することが前提である」

 各行政機関の外部との打合せ等の記録を作るときは相手方の発言内容は相手に確認するというガイドライン改正内容であるため、行政機関間の打ち合わせであっても、相手方に確認を求めるという「調整」を必ずしなければならない内容だったものに対し、この追加された内容は、行政機関間の打ち合わせ記録等は、特に、検証・跡付けができるように文書の作成することを前提とすると留意事項で確認をしたこと自体は、前よりは良いと思います。ただ、これが追加された部分が、文書の正確性確保に関する留意事項の前。この後に、以下の内容が続く流れになっている。

〇文書の正確性を確保するため、その内容について原則として複数の職員による確認を経た上で、文書管理者が確認する。作成に関し、部局長等上位の職員から指示があった場合は、その指示を行った者の確認も経るものとしている。
〇各行政機関の外部の者との打合せ等の記録については、文書を作成する行政機関の出席者による確認を経るとともに、可能な限り、当該打合せ等の相手方(以下「相手方」という。)の発言部分等についても、相手方による確認等により、正確性の確保を期するものとしている。なお、作成する行政機関において、相手方の発言部分等について記録を確定し難い場合は、その旨を判別できるように記載する必要がある。

 後者の〇二つは、ガイドライン本文の改正(行政管理規則に反映されていく部分)に対する留意事項の説明。追加された部分は、後者の二つ目の方の〇の後に入っていると、打ち合わせ記録等について相手方の確認を原則とするが、行政機関間の場合は別に留意事項がありますよ、という読み方になりガイドライン本文との関係もわかりやすい。しかし、なぜか3つの並びの最初に追加されているので、その後に来る文書の作成に関する正確性確保の措置の際に留意すべき事項として、特に打合せ等記録について取り出して示しているということなのかなあとちょっと疑問符。特に、追加部分の次に来る文書の正確性確保は打ち合わせ等記録に限っているものではないので、どういう世界観なのか、意図なのかわかりにくいなあということで??がまだ頭の中に残っています。とりあえず明日以降、趣旨は確認してみたいと思います。

 今日の公文書管理委員会では、委員からの発言は今後各行政機関が改正する規則や、専門家の配置、研修などガイドライン実施レベルの話が今日はほとんど。専門家の配置が予定されていながら進んでいない実態に対して進めるべきという意見があっても、その専門家が何にどのような貢献ができ、何に役に立つのかがどの程度霞が関の中で共有されているのか、という専門家の果たす役割や技術、専門性の話が委員会レベルでは一切出てこないのがとっても不思議と思うけど、あまりその辺は疑問を持ってはいけないところなのかなといつも思います。

 そして、研修は、内容を公表して第三者意見という割と安易な話に皆がうなずきそうだそうだと言っているのには、ほほえましい感じでしょうか。国立公文書館で行っている研修プログラムとその資料を情報公開請求して全部取り寄せていますが、大変勉強になる知識伝授型で専門性の高いものも結構あるけど、研修を受けた人が何ができるようになるのか、どのように手や足が動くようになるのか、ということが正直なところよくわからない。こういうのは研修というより、受講したい人が受ける「セミナー」という感じなのかなという印象です。資料はあるので、結局どういう範囲をどうカバーして、どこにターゲットがあるのか、配布資料やプログラムを整理して何が見えるか一度試みてみようとは思っています。

 なぜなら、すでにe-ラーニング教材などは作っているようですが、コンテンツができてから公表しても、そもそもの研修とはどういうプログラムかを検討する時点で案が公表されたり意見をいえるようにしないと、できたコンテンツ替えますなんてならないのは明らかな話。いきなりコンテンツ出されて何か言えと言われてもあまりやる気が起きないので、どの段階で何が公開されるのかわかりませんが、今の研修プログラムから見えることから頭の体操をしておくくらいの準備はしておかないとね。(三木由希子)

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