外務省と米側の協議メールなどの文書提出命令を申立て

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 日米合同委員会議事録情報公開訴訟で、不開示決定をした際の外務省と米側の協議メールなどの文書提出命令を、2017年8月8日付で申立てました。


1 事案の概要

 当法人は、2015年12月に外務省が全部不開示決定とした第1回日米合同委員会議事録などの公開を求めて東京地裁に提訴し、係争中です。提訴後、外務省が不開示とした文書と同一文書が、国が原告の沖縄県を訴えた訴訟で証拠提出されていたことがわかり、別件訴訟の証拠を本訴訟の証拠として提出したところ、外務省は決定変更し、不開示としていた議事録の請求対象部分を公開する決定変更を行いました。

 これを受けて当法人は訴えを変更し、当初の外務省による不開示決定の判断が違法で注意義務に違反していたとして、国家賠償請求に訴えを変更し、係争していました。係争する中で、当初の当法人に対する不開示決定前にアメリカ側にメールで確認を行い、議事録の公開に同意が得られなかったと被告国が主張していることから、議事録公開の同意を得られなかったことがわかるメールの提出を求めていました。メールは、別件訴訟で証拠提出していながら、当法人の請求に対して同文書を開示しないとする判断に至った核心的文書です。しかしながら、メールの裁判所への提出について米側の同意が得られなかったため提出しないと国が陳述書を提出したため、8月7日付でこれらのメールに対する文書提出命令を申し立てました。情報公開訴訟で国賠請求とはいえ文書提出命令の申し立ては、類例がほとんどないものと思われます。


2 訴訟の経過

 開示請求をしていたのは、第1回議事録のうち、「日米双方が合意をしない限り議事録が公表しない」と合意したことがわかる部分に限定して行っていましたが、外交安全保障上の支障などを理由に不開示となっていました。その後、以下のような経緯をたどり、現在、第1回議事録については国家賠償請求事件として係争中です。

2015年3月4日 沖縄県による県道70号線の共同使用に関する文書の全部公開決定に対して、国が開示決定の取消を求めて提訴(別件訴訟)
2015年4月30日 情報公開クリアリングハウスによる第1回日米合同委員会議事録の情報公開請求
2015年6月30日 全部不開示決定
2015年12月2日 東京地裁に不開示決定の取消請求を提起
 →提訴後に、別件訴訟で全部不開示とされた文書が証拠提出されているようであることに気づく
2016年9月13日 別件訴訟で証拠提出されていた本件訴訟不開示文書を証拠提出
2016年10月14日 外務省が決定変更通知を出し、第1回議事録の開示請求対象部分の開示を決定
2016年11月24日 原告が、国家賠償請求に訴え変更申立てを行う。


3 国家賠償請求事件の争点

 争点は、外務省による全部不開示決定時に、不開示情報に該当しないにもかかわらず職務上尽くすべき注意義務を果たすことなく、不開示決定を行った処分は違法であり、外務省に過失があったか否かという点です。

 とりわけ、①別件訴訟の訴訟記録は民訴法の規定に基づく閲覧制限がされておらず、誰でも閲覧できる状態に置かれており、外務省による全面不開示決定時点で、議事録は公開状態にあったこと、②別件訴訟での証拠提出について米側は同意をしていたとしていることことから、別件訴訟提訴後におこなわれた当法人による情報公開請求に対して、不開示とするべきではない情報を不開示としていたことが問題になっています。

 外務省の不開示判断は、米側の同意を得られない公開を行うことが外交・安全保障上の信頼関係を損なうことを主な理由としています。すでに被告国は、準備書面や陳述書で、米側の日米合同委事務局長が同意をしない旨返答をしたことなどを明らかにしていますが、実際にどのような文面で同意の有無を外務省が確認をしたのか、米側が返答をしたのかという点はあいまいで具体的に説明をしておらず、この陳述内容について元の文書の提出を求めています。

 被告国は、このメールの提出について米側の同意を得られなかったとしているため、文書提出命令の申し立てに対して裁判所がどのような判断になるのかが注目されます。

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