加計学園文書の取り扱いを不適切とする口頭厳重注意は不当・不正であり厳重に抗議する

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 文部科学大臣が、加計学園文書が個人メモであるにもかかわらず共有フォルダに保存をしたことなどを理由に、文科事務次官など3名を口頭厳重注意としました。

 この口頭厳重処分は、単に注意をしたでは済まされない問題が含まれています。それは、情報公開法や公文書管理法の根幹を覆しかねない重大な問題であるため、抗議文を送付しました。

 PDFファイル版はこちらから→http://bit.ly/2tjufaZ




2017年7月6日

文部科学大臣 松野 博一 殿

加計学園文書の取り扱いを不適切とする口頭厳重注意は
不当・不正であり厳重に抗議する


特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
理事長 三木 由希子


 当法人は、市民の知る権利の擁護と確立を目指して活動する特定非営利活動法人である。

 2017年7月5日と6日両日の報道によると、2017年6月15日に文部科学省による再調査により見つかった国家戦略特区による獣医学部新設に関する文書について、個人メモとして作成されたものが共有フォルダに保存されていたことをなど「不適切」とし、文部科学大臣が戸谷一夫事務次官、小松親次郎文科審議官、常盤豊高等教育局長の3人を口頭で厳重注意したとされている。

 報道によれば、文部科学省は今回見つかった文書が高等教育局専門教育課の課長補佐が個人メモとして作成したと判断し、行政文書に該当しないなどとしているようである。しかしながら、これは誤りである。

 行政文書の定義は、作成した当事者の認識が個人メモであったとしても、それが組織内で共有されるなど、利用のされ方によって行政文書性を判断するものであり、作成当事者の認識が個人メモであるか否かを問うものではない。獣医学部新設に関してこれまで明らかになっている文書は、明らかに一定の職員の間で共有されていたものである。当初は個人メモとして作成されたとしても、業務の中で関係職員と共有している以上は、行政文書としなければならないことに疑問の余地はない。そのため、課長補佐が一部文書を共有フォルダに保存をしていたことは、責められるべきことではなく、行政文書性を備えた文書を適切な場所に保存をした妥当なものであると評価されることはあっても、上司の監督責任を問い厳重注意を行うことなどあってはならない。

 また、文部科学大臣による厳重注意の理由及び根拠には、文部科学省による行政文書該当性の判断が極めて恣意的であり、情報公開法及び公文書管理法の信頼性そのものを根底から覆すものが含まれ、到底容認できない。

 情報公開法及び公文書管理法は、文書の利用のされ方によって行政文書性が生じた場合、それを行政文書として適切に管理し、情報公開請求に対して適切に特定することを行政機関が誠実に実行できることを前提にしている。そして、行政文書を通じて政府がその諸活動を説明する責任を果たすものとして制定・施行されている。それはとりもなおさず、行政文書という記録の管理と公開を通じて、政府が信頼を獲得する努力をすることを予定しているのである。

 しかしながら、このたびの文部科学大臣による口頭での厳重注意の理由は、実際の文書の利用のされ方を無視し、作成当事者の認識によって個人メモであると断定している。行政文書該当性の判断の根幹部分である「利用のされ方」をあえて無視し、個人メモと断じているのであれば、容認できるものではない。

 それだけでなく、文部科学大臣による厳重注意は、作成当事者が個人メモだと認識しているならば、利用のされ方に関係なく個人メモであると組織的な指示をしたに等しい。これは法律上の行政文書の定義に違反しているだけでなく、文科省の管理する行政文書をこの基準で選別し、情報公開請求に対する行政文書の特定でも除外をすると表明したのに等しい。もはや、文科省の行う公文書管理も情報公開請求に対する対応も、信頼できないと言わざるを得ない。

 今、問われているのは、政府の諸活動について良くも悪くも記録し、行政文書として作成・取得、管理することが、政府として受け入れるべき責任であることを自覚し、適切な対応ができるかである。さもなければ、時の政権や行政機関によって都合のよい記録、記録してもよいと判断されたものしか残されない、きわめて恣意的かつ操作的な事態を生み、情報公開法及び公文書管理法の信頼性が地に落ちるだけでなく、政府そのものの信頼性を欠くことになる。

 以上のことから、文部科学大臣によるこのたびの口頭厳重注意が誤った法認識のもとに行われたものであり、行政文書に関して超法規的な解釈を押し通したものと断じざる得ない。行政情報に関わる法制度の信頼性を著しく損なう不当・不正な行為であるので、厳重に抗議する。

以上


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