【レポート】都議会議員選挙の前に、各政党の「情報公開」の政策を比較してみる

 まもなく都議会議員選挙の投票日です。そこで、各候補者、政党などが情報公開に関してどのような政策を掲げているのか、比較をしてみました。

 情報公開がなぜ重要か。それは、都政や都議会で政策や事業の決定、実施をどのように行うのか、という基本的な「ものごとの進め方」を示すものだからです。各候補者、政党などが政策として掲げることを実現するにあたって、情報公開をスタンダードにし、公開した情報をもとにした市民参加でものごとを決め、実施段階での透明性を確保するのか、自分たちが思うような政策を実現すればその経過は問わないのか。両者に間には大きな違いがあります。

 そこで、情報公開を進めますではなく、すべての政策の実現にあたって、情報公開をスタンダードにして行いますということ、そのために具体的にどのように情報公開を進めるのか、の2点がポイントになります。この観点から、政策を比較してみました。

 なお、すべての無所属も含めた候補者の比較はできないので、国政政党、現職の都議会議員のいる政治団体のみ比較しました。各選挙区の候補者については、皆さん自分で候補者の掲げる政策を確認してみてください。

<比較表>

 続いて、各政党などの政策についてのコメントです。

 自民党

 以下の2つを確認しましたが、情報公開に関する考え方は示されていませんでした。

 〇TOKYO自民党政策集 2017年版
 〇2017TOKYO自民党政策提言CSC

 公明党

 以下を確認しましたが、いずれも情報公開に関する考え方は示されていませんでした。

 〇2017東京都議選に臨む重点政策

 日本共産党

 以下を確認したところ、都議会改革・都政改革を前進させるとして、「都政改革では、小池知事は「情報公開は東京大改革の一丁目一番地」と述べています。ならば、都民の知る権利を保障するため、情報公開は原則開示とし、非開示は最小限にとどめるようにすべきです」と述べています。

 政策というより主張という感じで、何を具体的にするのかということがわかりにくいです。非開示を最小限にとどめる方法を知りたいところです。

 〇2017都議選の訴えと重点公約

 民進党

 「重点+2」と「7つの重要政策」とあり、前者に「責任所在の明確化や情報公開の徹底など、都庁のガバナンス再構築が最優先です!」とあります。後者としては、密室型政治に終止符を打つとして、「公文書管理条例の徹底で、情報公開度全国NO.1を実現します。▲「口きき」記録を公開し、補助金などの適正化を検証します。」とあります。

 都庁のガバナンスの再構築のための手段として情報公開を位置づけていること、口利きの記録化と公開はこの政策の一部になると理解できます。ただ、公文書管理条例の徹底と情報公開度は関係はありますがそれだけでは情報公開度は上がらないのと、情報公開をどう具体的に進めるべきと考えているのか、という点が知りたいところです。

 〇民進党2017年東京マニフェスト

 都民ファーストの会

 「情報公開は一丁目一番地」という知事が代表だけあって、いろいろ情報公開に関する政策が示され、選挙後にこれを知事はするのであろうということが書かれていると読むべきものです。

 黒塗り文書(のり弁)を改めるのはどんどん進めてほしいところですが、公文書管理条例の制定で情報公開の徹底として何をするのかがよくわからないところがあります。すでに公文書管理条例を6月議会で制定しましたので、具体的に条例制定を受けて何を変えるのかを知りたいところです。ちなみに、以下の文書の「基本政策03 利権を一掃します」ですが、ここでもなぜか「公文書管理条例の制定で、情報公開を徹底します。」が政策に。なぜここでもこれを掲げているのか、説明がほしいです。

 「都民ファーストの会377の政策」では、議会と行政改革の二つの項目で情報公開に関連する政策があげられています。「議員の不当な口利きの禁止」としているので、口利きを記録し不当なものがないかを検証できるようにする、という情報公開や公文書管理の発想ではないようです。

 「都民目線の公文書開示基準の規定」はぜひ進めてほしいところですが、情報公開条例改正も公文書管理条例の制定も、ごく一部の専門家のみで進められたので、情報公開に関することがらをこれからも同じように決定していくのか、知りたいところです。

 なお、行政改革として「情報公開推進委員会を活性化」を入れているのがよくわかりませんでした。情報公開推進委員会とは、都議会に設けられている委員会なので、これを活性化すると行政改革になるとして政策に掲げた理由が知りたいところです。

 〇都民ファーストの会 基本政策

 東京生活者ネットワーク

 都議会改革として情報公開の促進都議会基本条例の制定を政策に掲げています。都議会に多様な声が届くことが開かれた都政になるということを言いたいのではないかと思われます。

 〇5つの重点政策+1

 東京維新の会

 「情報公開の徹底」を掲げていますが、具体的には「公文書管理条例は多くの自治体で制定済み。情報公開も当たり前。都が開催する会議を原則全面公開します」としています。公文書管理条例を制定している自治体はまた20カ所にも満たないので、ちょっと謎な説明です。会議の原則全面公開が具体的な政策と読むべきでしょうか。

 〇東京維新の会基本政策集

 社民党

 一人しか候補者がいないようなので、党としての東京都議選に向けた政策はないようです。候補者のホームページでは「情報公開と参加でわかりやすい都政へ」として、「都民目線の情報公開と住民参加の都政を進めます。」「多様な意見を反映出来る議会にします」という政策を掲げています。情報公開と住民参加を掲げているところがほかの政党などとの政策との違いです。

 https://www.sakuraijunko.com/blank

 まとめ

 情報公開について内容まで踏み込んで具体的なのは都民ファーストの会、民進党、社民党、東京維新の会の順。ただし、都民ファーストの会と東京維新の会は??な説明や項目があり、どこまで理解をして情報公開の政策を上げているのか疑問がないわけではないです。

 全体的に、政策づくりや実施などの都政運営の基盤としての情報公開という位置づけは弱いことは否めず、ところどころまだらに情報公開を進めて「情報公開をしました」ということになることも懸念されます。情報公開は、情報公開をスタンダードにした行政運営、都議会運営に転換することによって進められるものでもありますし、情報公開が最終目的ではありません。公開された情報をもとに都民が参加できる都政でなければ、情報が生きてこないので、結局のところ、どこが一番長く情報公開に地道に取り組んでくれるか、ということを候補者を見ながら判断するしかなさそうです。(文責 三木由希子)

Print Friendly, PDF & Email