【声明】加計学園文書に関する文科省追加調査に関する声明

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 加計学園問題について、文部科学省が文書の存在等について再調査を行い、その結果を発表しました。

 報告書は6ページ。それに「国家戦略特区における獣医学部新設に係る文書に関する追加調査結果 資料」が表紙を除いて14枚。この資料は、今回問題になっている文書すべてではありません。

 調査によっておよそ問題の文書と同内容あるいは同じ文書の存在が確認されたこと自体は歓迎しています。ただ、時間がかかりすぎたことによって、文書の存否でもめて結果的に国会が会期末を迎えているなど、本来は内容が問題なところ、入り口にようやくたどり着いたに過ぎないところです。

 今回の報告書の発表を受けて声明を発表しました。

 PDF版はこちらから→ http://bit.ly/2tpNOvt

【項目】
 1 調査について
 2 共有フォルダに保存されていても「個人メモ」という認識
 3 「職員の個人フォルダ」に保管されていた文書
 4 加計学園への情報公開法に基づく第三者照会手続の問題
 5 当事者に確認したか否かによって文書の価値は変わらない
 6 一部文書の非公表は問題





 

加計学園文書に関する文科省追加調査に関する声明(2017/6/15)


特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス

理事長 三木由希子


 当法人は、市民の知る権利の擁護と確立を目指して活動する特定非営利活動法人です。

 本日、文部科学省が「国家戦略特区における獣医学部新設に係る文書に関する追加調査(報告書)」が発表されました。これまで存在が確認できないとされていた関係文書の存在について、同内容の文書があったとして存在をおおよそ認めたことは、率直に歓迎します。しかし調査結果で明らかになったことは、行政文書のあり方として重大な問題を提示しており、ここに声明を発表します。

1 調査について

 報告書は、今回の調査について(1)「行政文書であっても、政策の意思形成過程にかかわるものであって、行政機関相互間の率直な意見交換が不当に損なわれる等のおそれがあるもの」、(2)「個人のメモや備忘録」は、公開しないとしているがとしています。しかし今回については、「国民の声を真摯に受けとめて徹底した調査を行うという特例的な調査であることから、文書の存否について、通例とは異なる対応を行うこととしたものである」としています。

 (1)は行政文書として存在している場合であっても不開示とするものであることを意味し、(2)は個人メモ等が、公文書管理法の対象となる行政文書ではなく、情報公開法に基づく開示請求対象でもないため、通常は仮に請求があったとしても「不存在」として存否を明らかにしないことを意味しています。加えて、「文書の存否について、通常とは異なる対応をした」としていますので、(1)について言えば、存在そのものを切ら蚊にしないという存否応答拒否の対象となり得るもので、その存否を明らかにしない理由が「率直な
意見交換が不当に損なわれる等のおそれ」であると主張しているとも読めます。

 今回の調査で明らかになったこと、および文科省の認識は、加計学園問題の文書で現在までに明らかにされているような文書は、「行政文書」として保管をするものではない、仮に保管されているとしても存否を明らかにしない、あるいは不開示とするというものです。これを一般的な行政運営に当てはめると、加計学園問題については文書が流出したためやむを得ず認めるが、それ以外は同様のことがあっても行政文書として記録に残さない、記録に残ってもそれを不開示として保護することが当然、という実態にあることが明らかになったと言えます。

 このような行政運営のあり方は極めて問題で、公文書管理法や情報公開法の問題を超えた、それの前提にある政府のアカウンタビリティや公正性の問題、そして行政が政治的影響を受ける場合にそれが記録されることは当たり前という前提のないままに政治が介入・関与していることの問題として、普遍的に問われるべきと考えます。

2 共有フォルダに保存されていても「個人メモ」という認識


 調査では、(1)獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項、(5)大臣ご確認事項に対する内閣府の回答、(9)藤原内閣審議官との打ち合わせ概要(獣医学部新設)(9月26日)については、専門教育課の「国家戦略特区」以外の共有フォルダに保存されていた文書であるとし、さらに作成したと思われる課長補佐の認識として「個人メモなのだろうと考えている」(なお、(5)については「当時作ったメモなのだろう」としている)としています。ここには二つの問題があります。

 一つは、国家戦略特区に関する文書であるにもかかわらず、専門教育課内の別のフォルダに保管されていたということは、そもそも一つの業務や政策について、体系的かつ集約的に関連文書が管理されていないということです。

 二つ目は、共有フォルダにあることは認めても、それについては「個人メモ」という認識が示されているということです。一般に、共有フォルダに保存されていれば行政文書性に疑問の余地はありませんが、一方で、共有フォルダに保存されているか否かは外部からは確認できず、個人メモという認識であるならば、適切な行政文書としての管理がされず、情報公開請求に対しても特定しない可能性があることが疑われます。

 このような状況は適切なものとは言えないと考えますが、同様の認識に文部科学省をはじめ政府が立てるのかどうかが問われていると言えます。

3 「職員の個人フォルダ」に保管されていた文書


 (2)義家大臣レク概要(獣医学部新設)、(4)義家大臣のご感触、(6)10/4義家副大臣レク概要、(7)10/7萩生田副長官ご発言概要、(8)10月19日(水)北村直人元議員、(3)大臣ご指示、については、「個人フォルダ」において発見されたとされています。(3)以外は「個人フォルダ」とし、(3)については「職員が自らのパソコンの個人フォルダを探索」した結果見つかったとしており、ここにいう「個人フォルダ」が同じ性質のものか否かや、探索方法が異なるのかなど不明確な点はありますが、共通するのは「個人フォルダ」であり、共有フォルダではないという点です。

 報告書冒頭で今回は「特例的な調査」であるとしているため、個人フォルダも含めて探索したとしており、これらの文書類は「行政文書」でないものとして取り扱っており、そのことの変更がないことを前提にしていることに留意する必要があります。

 今回の調査の対象となった文書は、これまで報道等で明らかになっている状況から総合すると、事務次官と共有された文書であると言え、文書としては個人フォルダに保存されていたとしても、利用実態としては組織的に用いる状況にあると言えます。

 「行政文書」の定義には、(1)組織的に用いられていることと、(2)行政機関が保有をしていることの2要件があり、(1)の要件を満たしており、庁舎内に保存がされていたのであれば、(2)の要件も満たし得るものです。情報公開法では、文書の利用状況に応じて行政文書該当性を争うこともできるようになっており、職員個人のパソコンの個人フォルダに保存されていたとしても、利用実態が組織的に用いられているものであれば、それは行政文書に該当する可能性が常にあり、それは最終的には司法が判断することになっていま
す。

 以上のことから、このような意思形成過程経過を示す文書類が、行政文書に言う利用実態にもあるにもかかわらず、明確な行政文書としてではなく、個人保存文書になっているという重大な問題を提示しているという問題に対して、今後、政府がどのように対応をするのかということをこの先議論し、記録を行政文書として残すということを合意事項とする必要があります。

4 加計学園への情報公開法に基づく第三者照会手続の問題


 報告書は、「法人の利益を害するおそれがあるから、行政機関情報公開法に第三者(法人)の意見聴取手続があることなどを踏まえて、現時点では、存否を含めて明らかにすることはできない」としています。情報公開法は第三者への照会手続を設けていますが、法人に関する不開示規定は、法人の正当な権利利益を侵害することが要件となっています。そのため、保護すべき権利利益は「正当」なものである必要があります。加えて、第三者の意見照会により加計学園が公開に同意しなくても、それに従う義務はなく、それを踏まえて「正当」な権利利益の侵害があるか否かを文科省として判断する必要があります。

 したがって、加計学園が同意をするか否かだけでなく、文科省として法人の正当な権利利益を害するかどうかを判断すべきであり、不当な利益を保護することを情報公開法は想定していないことに留意する必要があります。

5 当事者に確認したか否かによって文書の価値は変わらない


 報告書には、「副大臣に確認した上で作成されたものではない」、「上司や協議先に確認したうえで作成されたものではない」、「内容については、大臣や上司に確認をしたものではない」などとの言及が随所にあります。加計学園問題文書は協議のプロセスにかかわるものなので、記録作成者以外の言動が記録されているのは当然のことであり、その時の協議についてどのように担当者が認識をしたのかを示しているものであります。そこに記録されている内容は、政策担当者(この場合は文科省の専門教育課)がどのように指示等を受け止めたのかが、実際の政策立案や意思形成過程の業務に影響を与えるわけです。

 したがって、その時点での認識が示されているという点では、もう一方の当事者に内容の確認をしたか否かを問わずともその価値は変わらないと言えます。

 そして、このように文書の存在が明らかになり、一方で内容が問題になるのであれば、当事者である文科大臣、副大臣、上司や内閣府、総理大臣等は「事実ではない」「そのようなことはない」「記憶にない」などというのではなく、本来であれば、こういうことであるということが、別の記録を示す、事実を提示すればよく、是正の機会は十分にあるはずであります。内容が確認されていないことをもって内容に疑義を呈するのではなく、疑義を呈する根拠を示すことが政府のアカウンタビリティの基本であるべきです。

6 一部文書の非公表は問題


 今回の調査報告書とともに発表された追加調査資料は、調査により確認された文書すべてではなく、個人フォルダにあったものについては1件を除き資料から除外されています。具体的には、②義家大臣レク概要(獣医学部新設)、④義家大臣のご感触、⑥10/4義家副大臣レク概要、⑦10/7萩生田副長官ご発言概要、⑧10月19日(水)北村直人元議員については除外されています。このことが、個人フォルダにあった文書については、職員から提出を求めず、文科省として形式的に「行政文書」として取得していないということを意味するのか、非公開情報に該当するため資料に含めなかったことを意味するのか不明です。

 しかし、前述のとおり、今回資料として公表されていない文書は、利用状況からして行政文書とすべきものであり、それらが個人フォルダで保管されていたことをもって行政文書ではないとするのでは、情報隠しの批判を免れません。なぜなら、利用状況としては組織的に用いていたとしても、物理的な文書を個人保存とすることで、行政文書であるべきものをあえて私文書化していることに他ならないからです。

 現段階で資料に含めていない文書についても、文科省として公表すべきです。

以上



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