【調査】公文書管理法52点、東京都公文書管理条例案概要16.5点


 国の公文書管理のあり方が問題になり、公文書管理法の改正の必要性も指摘される中、東京都は豊洲新市場問題を契機に公文書管理条例を制定しようとしています。

 改正議論もある公文書管理法ですが、公文書管理に関する基本的な枠組みは整理されて示されています。問題は、法の目的や趣旨に照らして適切に運用されていないところがあることと、それが法規定の抜け穴によってできてしまっているところにあります。そこで改正の必要性が一般に議論されており、基本的枠組みを大きく変えるというよりは、抜け穴化しているところの対処と、より合理的に妥当な運用が確保できる仕組みとなるための改正等の必要性が論じられています。

 この不十分で改正すべきとの議論もある公文書管理法の基本的枠組みを支える諸規定について、東京都公文書管理条例案の概要が何を盛り込んでいるのかを整理しました。

 整理の方法は、公文書管理法の主要でかつ重要な規定として26項目抽出し、それぞれを2点として基準点を52点としました。この項目に東京都の条例案概要がどの程度対応しているのか、条例概要案だけでなく情報公開条例など他制度で措置されているものもある程度加味して検討しました。

 スコアは、次のような基準でつけました。
  2点→法と同趣旨
  1.5点→法とおよそ同趣旨
  1点→法の規定する内容がある程度含まれている
  0.5点→まったく含まれていないとは言えない
  0点→条例案概要等で措置されていない

 この基準でスコアリングしたところ、フルスコアが52点のところ16.5点にとどまりました。公文書管理法の後発条例ですが、法の水準に達していない以上に、法の水準を大幅に下回る条例案概要であることが明確になりました。

 特に問題であるといえるところの一つは、文書の作成義務を定めることにしているようですが、何のために作成しなければならないのかと、「事案決定の過程」のみ作成を義務付けるとしている点です。公文書管理法は、合理的に跡付け検証できるように文書の作成を義務付けています。また、意思決定過程だけでなく事務事業の実績の文書作成義務も規定しています。法よりもかなり水準の低い概要が示されています。

 二つ目の特に問題な点は、文書の廃棄についてです。条例案概要では、廃棄についてダブルチェックをするとしています。2017年4月に改定した文書管理規則を東京都は施行していますが、そこで廃棄について新たな仕組みを設けています。それは、廃棄は文書を持っている主務課が判断して行いますが、「重要な文書」については局等の庶務主管課の承認が必要で、この承認による廃棄の状況は、毎年度1回総務局文書課に報告するとしています。

 これとは異なるダブルチェックの仕組みを導入するのか、条例案概要からはわかりません。しかし、4月から導入された仕組みは、「重要な文書」は主務課が判断するので何が承認の対象となるのかは主務か次第なので、これはダブルチェックとは言えません。また、庶務所管課が承認をしたら廃棄はできることになりますが、この承認は廃棄が終了後に文書課に年1回報告されるとすると、重要な文書で廃棄されたものの結果を受け取るに過ぎないので、ダブルチェックではありません。

 国は、廃棄には内閣総理大臣の同意が必要という仕組みをとっていますが、十分に機能しているとはいえず課題を抱えています。その水準にすら東京都は達していない条例を作る方針のようです。

 三つ目は、東京都公文書館にある「歴史文書」に対する「開示請求権」の仕組みが設けられていないことです。情報公開条例は、歴史文書を情報公開請求の対象から除外しています。公文書管理条例を制定する意義の一つは、歴史文書に情報公開条例と同様の請求権制度を導入することにありますが、東京都は歴史文書に対する請求権制度を導入するつもりがなさそうです。公文書管理法は「利用請求権」として規定しています。

 四つ目は、最近、千葉県文書館で歴史文書が大量の廃棄されたことが問題になりました。公文書館にあるからと言って確実に保存されるわけではないということが自治体では起こっているようです。公文書管理法は、国立公文書館等に移管された公文書は永久保存が原則で、廃棄をする場合の規定を特に設けています。東京都条例案概要は、歴史文書の永久保存の原則や廃棄の場合のルールを設定していません。東京都は、公文書館に保管されている歴史文書は裁量的に廃棄ができる仕組みにするようです。

 他にも公文書管理法からもさらに甘いルールになっている部分があります。以下に26項目のポイントと採点結果、採点理由をコメントとしてまとめています。

 東京都が現在、公文書管理条例の制定に向けて概要案を公表し、パブリックコメントを実施中です(4月26日締め切り)。パブリックコメントで意見を述べるポイントにもなりますので、概要で示されている内容のまま条例化することについて意見がある方は、ぜひ、意見を出しましょう。

【公文書管理法と東京都条例案概要の比較表】






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