「情報保全諮問会議の会議運営に関する質問」を出しました

 2014年1月17日に、特定秘密保護法における特定秘密の指定・解除、適性評価の統一基準などについて有識者から意見を聴くため、第1回情報保全諮問会議が開催されました。7名の有識者からなるこの会議は、特定秘密保護法の公布から1年以内の施行というスケジュールに合わせて、統一基準だけでなく政令についても意見を述べることとされています。

 諮問会議は、第2回の会議後に統一基準案等のパブリックコメントを実施し、その後第3回の会議を開催。その後閣議決定をされるというスケジュール案が示されています。諮問会議が非公開で行われ、議事要旨は公開されるものの議事録そのものは公表されず、情報公開請求により対応することとされています。この会議の公開のあり方にも疑問がありますが、諮問会議の開催回数が限られており、第1回と第2回の間には個別に有識者の意見を聴くという形をとっており、会議だけを見ていてもプロセスの公開性、透明性が確保さるとは言えない状況です。

 そこで、諮問会議の運営について、内閣官房特定秘密保護法施行準備室あてに質問状を出しました。

 なお、情報保全諮問会議の当日の配布資料、議事概要などはこちらから

 質問状のPDF版は→ http://bit.ly/1n2FA1U


 

2014年1月31日

内閣官房特定秘密保護法施行準備室 御中

特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
理事長 三木 由希子

情報保全諮問会議の会議運営に関する質問

 当会は、公的機関の情報公開・個人情報保護に取り組む特定非営利活動法人です。知る権利を擁護する立場から、特定秘密保護法に関しては強い関心を持ち、調査研究、意見表明などを行ってきました。

 特定秘密保護法の施行準備の段階として、法第18条2項の規定により、特定秘密の指定・解除、適性評価の統一基準等について内閣総理大臣から有識者から意見を聴くため、情報保全諮問会議が設置され、第1回会合が1月17日に開催されました。会議で配布された「資料6 今後のスケジュール(イメージ)」によると、統一基準等の決定までの間に開催される諮問会議の回数がきわめて限られ、会議外で有識者から意見を聴いて素案等の検討をすることとされています。このプロセスは極めて不透明です。

 また、諮問会議は、1月14日の内閣総理大臣決裁の「情報保全諮問会議の開催について」において、会議の議事録・議事要旨を作成し、議事要旨を公表し、配布資料も原則として公表をするとされています。会議や議事録については原則として公開とすべきと考えます。その一方で、会議や会議資料、議事録の公開は、会議の場やその構成員の役割を明確にし、そのために必要な情報と議論の場を設けて初めて意思決定プロセスにおいて意味のある役割が果たされるものと考えます。諮問会議に対してその役割に応じた必要な情報が提供されていることが一義的には重要であり、その資料や会議内容を原則公開という情報公開法の原則に基づいてできる限り公開をしていくことをすべきです。公開可能なものしか諮問会議や有識者に提供しないのであれば、それは形式的には情報公開されていますが、内容の伴わない情報公開となります。

 公表されている資料の範囲によれば、諮問会議の構成員である有識者に対しては、守秘義務等を課されておらず、守秘義務を要するような情報へのアクセスを想定していないものといえます。しかし、公開できる範囲でしか資料を提供しないということであれば、それは有識者が想定される特定秘密に関する十分な情報を得ずに統一基準等について検討を行うことであるとも言えます。

 以上のような状況認識を前提に、情報公開を求める立場から以下の点について質問をいたしますので、ご回答くださいますようお願い申し上げます。

1)諮問会議における検討プロセスについて

  1.   第1回と第2回の間に行われるとされている「有識者の方々から意見を聴きつつ素案を作成」という作業について、どのようにそのプロセスが行われ、記録されるのでしょうか
  2.   個別に「有識者の方柄から意見を聴」く際に、各有識者に対してどのような資料が提示されていたのかを有識者が相互に確認できないと、意見を述べる際の公平性が確保されず、適正なプロセスとは言えないと考えますが、どのように有識者の提供資料について公平性を確保することとしているのでしょうか
  3.   「有識者の方々から意見を聴」くプロセスの進捗について、有識者間で共有できるような進行をするのでしょうか
  4.   第1回と第2回の間以外にも、会議外に個別に有識者の意見を聴くことを予定しているのでしょうか。予定している場合は、どの段階でそれを行うのでしょうか
  5.   政令及び運用基準の素案検討に関しては、有識者から意見を聴くのと並行して通常の手順として関係行政機関との協議を行うものと考えられますが、有識者や諮問会議とはどのようなプロセス上の整理が行われているのでしょうか

2)有識者ないし諮問会議に提供する資料について

  1. 有識者ないし諮問会議に提供される、特定秘密の指定・解除、適性評価の統一基準等の検討に必要な資料は、公開できる情報を原則として提供することを予定しているのでしょうか
  2.   個別の有識者に対して提供した資料等は、会議で配布した資料と同様に公開する予定があるのでしょうか
  3.   統一基準等は、特定秘密となることが想定される情報内容については一切関知せずに有識者は意見を述べることになるのでしょうか
  4.   3.の場合有識者の具体的な役割と責任はどのような範囲になるのでしょうか

3)統一基準策定のプロセスの公開性について

  1. 諮問会議の資料を原則公開とし、議事要旨を公表することとされていますが、仮に公開できる資料しか会議において提供しないのであれば、会議の議事内容そのものに秘匿性があるとは思われませんが、それでも会議の公開や議事録の公表はできないのでしょうか

 上記について、すでに第1回諮問会議が終了し、有識者に意見を個別に聞く段階に入っていると思われますので、可及的速やかにお答えくださいますようお願い申し上げます。