11月26日の特定秘密保護法案の衆議院での可決を受けて、声明を発表しました。
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2013年11月27日
特定秘密保護法案の衆議院通過に当たっての声明
特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
理事長 三木 由希子
11月26日に、特定秘密保護法案が衆議院で強行採決され、可決しました。
当会は知る権利を擁護し、公的機関の情報公開を進める立場から、本法案に対して反対を表明してきました。衆議院での審議が打ち切られ、強行採決されたことに強く抗議をするものです。
政府の活動の記録は、どのようなものであれ「国民共有の知的資源」です。政府は自らの活動を記録し、体系的に管理して公開することで、自らの説明責任を果たすとともに、情報の自由な流通を不当に阻害せず市民の知る権利を保障することが、政府・政治の本質的な使命です。しかし特定秘密保護法案は、こうした本質的な使命を基礎において、特定秘密に対する強い権限を行使する政府を律するという視点を著しく欠いたものであり、そのことを当会は繰り返し様々な機会を通じて指摘してきました。
特定秘密は罰則による懲罰の対象となる情報となり、その範囲の拡大は知る権利の侵害とともに、行政組織内においても情報の適切な流通と政策検討の妨げにもなるものです。しかし、秘密の指定基準は定められず、さらには特定秘密の指定期間の基準、秘密指定解除の基準と手続なども不明なままです。衆議院での法案修正では、秘密指定と解除、適性評価の基準を作成することとされましたが、基準とはどのようなものを想定しているのかなど、実質的な内容や基本項目などの枠組みも不明なままであり、審議を通じて指定や解除の基準が明らかになったわけではありません。いまだ、特定秘密の指定や解除についての政府の裁量的判断は何ら制約を受けていないままであり、法案の問題は何ら変わっていません。
本来であれば、特定秘密としての記録管理の徹底(文書の作成義務、管理、移管・廃棄、歴史文書としての保管と公開というライフサイクル)をしたうえで、情報管理のためのアクセス管理などの徹底があるべきです。このことが、政府の説明責任の徹底と知る権利の保障に資することにつながるのです。その上で、罰則が本当に必要であるとするならば、政府はそのことを具体的に説明すべきですが、こうした基本的なことすら問われずに法案が衆議院で成立したことには、強い怒りを覚えます。
また、特定秘密の漏えい、取得等に関する罰則は、情報の自由な流通を不当に侵害する内容をいまだ含んでいます。知る権利は、政府が公開・提供できる情報の範囲を超えて、たとえ政府が秘匿したい情報であっても社会的利益に資する情報が流通することで初めて本質的に保障されるものです。
衆議院での審議、修正協議、対案の提示などを通じて、ようやく法案の本質的な問題点や、そもそも秘密の管理と保全のためにどのような政策が必要なのか、という論点が明確になってきたばかりです。本日より参議院で特定秘密保護法案が審議入りをしましたが、徹底的に審議し、拙速な採決を行わないことを強く求めます。
以上
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