【秘密指定制度日米比較②】秘密指定の区分・条件




 「秘密指定制度日米比較① 秘密指定制度の違い、制度の目的」に続く第2回です。

※アメリカ法の専門家ではありませんので、誤解などありましたらご指摘ください。また、文中には筆者の翻訳(あくまでも仮訳)を使っています。それなりのところでの引用は、ご自身で原典を確認の上、各自の責任でお願いします。

 特定秘密保護法案では、秘密指定の区分を作らず「特定秘密」としていますので、あまり今の議論では意識されていませんが、秘密指定は対象となる情報の重大度に応じた区分をすることがあります。日本の秘密保護法制では、防衛秘密(自衛隊法)、特別防衛秘密(MDA秘密保護法)でも秘密指定の区分はありません。

 しかし、各行政機関の内部ルールで行っている秘密指定は異なります。「極秘」「秘密」という区分を設けています。

 アメリカの大統領令もまた、機密・極秘・秘密の三区分で秘密指定をしています。秘密指定ではありませんが、ブッシュ政権下の2008年に「Contorolled Unclassified Information:CUI」というものが導入されています。機密指定されていないけど管理の必要な情報というものです。アメリカでは、個別の法令で秘密指定制度がない限りは、この三区分以外の機密指定はないようで、大統領令にも法律で定めがある場合を除きこの三類型と異なる用語を用いることを禁じています。

 日本の法律による秘密、内部ルールの秘密、米大統領令とCUIはどういう関係になるのかは、単純に比較をするのが難しいのですが、要件などを考えると以下のような表になるのかと思います。大くくりでまとめたので、やや不正確なところがあるかもしれませんので、厳密性を追求するというより、イメージをつかむ程度ととらえてください。

<機密指定の区分>
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 ・警察庁における秘密文書の取扱いに関する訓令
 ・外務省「秘密保全に関する訓令」
 ・防衛省「秘密保全に関する訓令」


 日本の場合は、特別管理秘密から防衛省秘までが、内部ルールで事実上の秘密指定が行われて情報が強く統制されている部分です。外務省秘の資料だけ、2006年当時の規則であるため、2009年に「特別管理秘密」が導入されてから規則の改定が行われているかもしれません。要件の単純比較では、日本の秘密指定制度はアメリカのCUIまで含む形で行われていると理解してよいのではないかと思います。

 日本で法的なコントロールを受けずに秘密指定がされているというところは、特定秘密保護法案とは別に問題であるところです。秘密指定をしている以上は、本来であれば米大統領令並みに指定の管理や秘密指定解除、運用実態の公表などが必要であるはずですが、これまでされてきていません。

 秘密指定についての説明責任を果たすという習慣も文化もない組織が、秘密指定制度の法制化をするとどうなるのか、ということが特定秘密保護法案では問われているともいえると思います。(続く)

文責 三木由希子