放射線医学総合研究所 福島原発事故関係の研究計画

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福島第一原子力発電所事故における被ばくに関し、独立行政法人放射線医学総合研究所で行われている研究の計画書が情報公開請求により公開された。


 ・福島第一原子力発電所の事故に基づく周辺住民の外部被ばく線量推定のための問診票調査(2011年7月7日付申請)
 ・東電福島第一原発事故で高線量被ばくが疑われた作業従事者の染色体ゲノム異常解析(2011年11月30日付申請)
 ・東電福島第一原発事故作業従事者の臨床経過と被ばく線量に関する検討(2012年6月7日付申請)

2011年度と、2012年度(11月まで)で申請されている研究計画は3件。そのうち1件は、福島県県民健康管理調査の問診票による調査(浪江町、飯館村、川俣町山木屋地区)に関するもので、福島県立医大の倫理委員会に提出されている研究計画と同じものだ。

2件は、福島第一原発事故で高線量被ばくが疑われる作業従事者に関するものだ。1件目は、「東電福島第一原発事故で高線量被ばくが疑われた作業従事者の染色体ゲノム異常解析」の研究。計画によると、事故の収束作業の従事者の中で高線量被ばくが疑われた人を、放医研がを受け入れ治療に当たっているが、その中には個人線量計の不備・不調によって物理線量評価が不明確な人も含まれるという。これらの人々について、被ばく線量に相関関係のある「二動源染色体異常の出現頻度分析による線量推計(バイオドシメトリー)」を行い、物理線量評価を補完しているが、これだけでなく被ばく者に生じる複数の生物学的変化を指標として、総合的に線量評価を行うというもの。

研究の対象は、1Sv以上の高線量被ばく疑いの人で、かつ放医研の診療を受けている作業従事者が対象で、2011年11月30日現在で10名が申請時点での症例。研究の目的は、①二動原体染色体の頻度に影響を与える可能性のある要素(年齢・性別・生活習慣・過去の放射線被ばく履歴・内部被ばく線量)を考慮し、より正確な線量評価を行う、②複数の手法によって、今回の原発事故で放射線被ばくが引き起こした染色体やゲノムの特徴的変異を探索し、被ばく量との関連を調査することを目的としている。研究データは凍結保存資料(末梢血リンパ球由来の染色体標本とDNA)を用いる。

こうした研究により、「放射線の人体への影響研究は、in vivo照射実験が不可能であり、放射線被ばく事故における被ばく量と生物学的影響(生命の設計図である担体である染色体ゲノムにおよぼされる変化)の調査は重要な知見をもたらすことが期待される」とある。

期待される利益として、研究対象個人にとって直接的な利益はないが、今後の緊急被ばく医療における診断や治療の開発に貢献するもので、研究結果により診療方針等に関しての介入は行われない。

もう1件は、「東電福島第一原発事故作業従事者の臨床経過と被ばく線量に関する検討」。高線量被ばくもしくは汚染が疑われた作業従事者で放医研が受け入れた原発事故対応作業者全員を対象としたものだ。2012年4月30日現在で症例の対象となるのは23名。対象者には、個人線量計の不備等によって物理線量評価が不明確な人も含まれることから、この研究ではホールボディ―カウンタ、甲状腺モニタ等の対外計測、便・尿・血液等のバイオアッセイによる線量評価、バイトドジメトリーによる外部被ばく・内部被ばく線量評価結果に基づいた診療を実施しており、この診療により収集されたデータの詳細な検討を行うというのがこの研究だ。被ばく事故によって医療対応が必要となる事象はまれで、実際に被ばくもしくは汚染を伴った傷病者の診療を経験したことのある医療機関は国内外に少数であるので、このような知見の積み重ねは内外の公衆衛生上不可欠とされている。

経過観察期間は、2014年6月30日まで。データの収集は、対象者の年齢、病名、性別、被ばく線量、自覚症状の有無と出現日、臨床所見、検査結果、治療処置の電子カルテの診療記録、看護記録から抽出される。


開示請求 2012年11月28日付
開示決定 2012年12月7日付
決定者 独立行政法人放射線医学総合研究所理事長
決定内容 全部公開

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