SPEEDIに関する原子力安全技術センターの契約書

 
 SPEEDIの運用を、財団法人原子力安全技術センターが行っていることは周知のことだ。SPEEDIの所管をしている文部科学省と、原子力安全技術センターが福島第一原子力発電所事故に関してどのようなSPEEDIの運用についてやり取りをしていたのか情報公開請求をしたところ、通常の委託契約書と、事故を受けての委託契約書が情報公開された。

 わかったことを端的にまとめると、3月11日には文科省と原子力安全技術センターの間で原子力災害の緊急時対応に関する契約が締結されていたということだ。また、平時のSPEEDIに関する委託契約は年間7億7千万円以上、緊急時対応になって別途契約が行われ、3月11日~31日までで約870万円、3月11日~5月27日までに約1億7715万円支払われているということだ。

 公開された文書によると、通常締結委託契約は、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム調査」という名目で、年間7億7千万円以上の金額で契約が締結されていた。「業務計画書」にある調査の成果目標は、「SPEEDIシステムについて、緊急時対応準備及びシステム高度化について調査を実施し、国及び原子力施設が立地若しくは隣接する19道府県が実施する防護対策をより効果的に支援できるシステムとすることを目標とする」とある。業務の内容は、①緊急時対応準備調査、②気象予測精度向上調査、③利便性向上調査、④安定性向上調査で、さらにSPEEDI調査委員会、SPEEDI技術検討ワーキンググループ、SPEEDI協議会も設置するという。

 また、業務計画書の中には「原子力災害対策特別措置法第10条または第15条該当事象に至った際は、文部科学省の指示によりSPEEDIシステムを緊急時モードへ切り替え、単位放出量による放射能影響予測を実施し、結果を文部科学省の端末に配信すること等の緊急時対応を実施する。ただし当該緊急時対応に係る業務及びその経費については別途協議する」とある。

 この「別途協議する」という一文を受けて、「原子力災害緊急時対応業務一式」という委託契約が、3月11日には文科省と原子力安全技術センターの間で締結されている。3月11日契約締結の仕様書によると、「緊急時モードへの切り替え指示があった際、緊急時対応体制を整え、対応するとともに、関係機関へのSPEEDI操作要員の派遣を行う」とある。この時点で、24時間体制が整えられることになっている。

【決定の概要】

開示請求日 2011年12月23日付
決定日 2011年2月2日付
決定者 文部科学大臣
決定内容 部分公開(5条2号イ)
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