[意見] 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に係る 文書等の保管及び承継に関する条例(案)に対する意見

 
 東京都議会に、議員提案で「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例(案)」が、2020年3月議会に議案として提出されていました。ほとんどの都議会会派が条例案提出者になっており、成立することは確実かと思われます。

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は行政機関・独立行政法人等ではない財団法人であり、その作成・取得された文書については、公益財団法人として義務的に作成や保存が義務付けられているもの以外は、特に法令等で扱いが定められていません。こうした状況に対し、組織委員会の作成・取得した文書について東京都としてその保管等と継承に関する措置ヲ講ずる義務を定め、組織委員会等には都の要請に応じる努力義務を定めたのが、条例案です。

 条例を制定しても実効性が伴うかは組織委員会次第であり、また東京都としてどのような対応を実際に講ずるのか次第となる理念的な条例ですが、制定をする以上は実効性確保のための最大限の措置を講ずるべきと考え、意見書を出しました。

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に係る 文書等の保管及び承継に関する条例(案)に対する意見

 提出されている条例案は以下の通りです。


 
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例(案)

(目的)
第1条 この条例は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「大会」という。)の歴史的価値を継承するとともに、大会の開催経費等の検証を行うため、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(一般社団法人及び財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第206条の規定に基づく精算法人並びに同報第241条第1項に基づく清算人及び同条第2項に基づき清算人に代わって帳簿資料を保存する者を含む。以下「組織委員会」という。)が保有するすべての文書等の適切な保管及び承継に必要な措置を講じ、もって大会に対する都民の信頼の向上を図ることを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において「文書等」とは、組織委員会の職員(役員その他組織委員会の業務に携わる者を含む。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録を言う。)であって、組織委員会の職員が組織的に用いるものとして、組織委員会が保有しているものをいう。ただし、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されたものを除く。

(都の責務)
第3条 東京都(以下「都」という。)は、この条例の目的を達成するため、組織委員会に対し、文書等の保管及び承継に関して必要な指導及び調整を行うものとする。

(組織委員会の責務)
第4条 組織委員会は、文書等の適切な保管および承継のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(関係機関への協力要請)
第5条 都は、文書等の適切な保管及び承継のための仕組みを整えられるよう、公益財団法人日本オリンピック委員会その他の関係機関に対して、必要な協力を要請するものとする。

(承継された文書等)
第6条 都は、組織委員会から承継された文書等について、東京都公文書等の管理に関する条例(平成29年東京都条例第39号)に基づき適正に管理するとともに、この条例の目的を踏まえ、利用するものとする。
2 都は、組織委員会から公益財団法人日本オリンピック委員会その他の関係機関に承継された文書等について、都がこの条例の目的を踏まえた利用ができるよう、当該関係機関に要請するものとする。

(他の法令等との関係)
第7条 文書等の保管及び承継については、法律若しくはこれに基づく命令又は他の条例に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。

(委任)
第8条 この条例の施行について必要な事項は、知事が定める。

附則
1 この条例は、公布の日から施行する。
(以下略)