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2017年衆議院選挙 情報公開・公文書管理に関する各政党の公約

 各政党が情報公開や公文書管理についてどのような公約を掲げているのかと、簡単なコメントをまとめました(なお、コメントは理事長の私見であり当法人全体を代表したものではありません)。ぜひ、参考にしてください。

自由民主党

【公約】
<政治・行政改革>

  • 「根拠に基づく政策立案(EBPM)」のもと、統計データや社会科学の知見に基づき、目的や効果を明確に説明できる、透明性を持った政策立案・予算編成に取り組みます。
  • 国民への情報公開、説明責任を全うするため、行政文書の適正な管理に努めます。

→ソース 『政策BANK2017』


【コメント】
 公文書管理委員会で示された案によると、「行政文書の適正な管理」の中には、行政文書の正確性の確保ということが含まれている。正確性の確保として、行政機関と行政機関外部(国会議員なども含む)との打合せ等の記録は、相手方に内容を確認して行政文書として残すことが原則、という意味が含まれていることに注意。情報公開、説明責任のまっとうは、行政文書が良いこともそうではないことも事実が記録されていることが重要。行政文書の中に記録されていることが、行政機関や政権として望ましい自己像を体現するものにならないかなど、中身が示されないと、判断できない。EBPMはすべきことなので、○。しかし、データは政策的に選択をしていくものなので、政策決定過程そのものの透明性や説明責任を確保しないと、データだけでは確保できないので、そこの中身が不明。

公明党


【公約】
⑥政治改革と行財政改革

  • 公文書管理のガイドラインを改正し、国の行政機関等の公文書管理を厳格化し、国民への適切な情報公開体制の整備を図ります

→ソース 2017衆院選マニュフェスト


【コメント】
 公文書管理のガイドラインは現在、公文書管理委員会で検討されており、そこで検討されているのは①歴史文書としての移管基準、②1年未満保存期間の基準作り、③行政文書の作成について(作成、正確性の確保など)が主なもの。③については自民党のコメントと同評価。すでに検討をしていることが「厳格化」なのか(厳格化とは言い難い)、何をもって「厳格化」としているのかが不明。また、公文書管理の厳格化→情報公開体制としている点がどのような状況を想定しているのかが不明。公文書として管理されていても公開されない情報が多くあり、行政機関内部や内外との協議打ち合わせの記録は、公開されないことが多く、これを進めるという趣旨であるなら、明確に示さないとわからない。

希望の党


【公約】
公約8 憲法改正
 たとえば、国民の知る権利を憲法に明確に定め、国や自治体の情報公開を進めること。

政策集:私たちが目指す「希望への道」
1 政治に希望を~徹底した情報公開による透明性の高い政治を実現~

  • 国会及び国の行政機関の情報公開のあり方を抜本的に見直し、例外的に非開示にできる理由を大胆に絞るとともに、公文書管理法を改正し行政文書の恣意的な廃棄を禁ずることにより、「隠ぺいゼロ」を断行する(森友学園の売却価格や加計学園の設置認可に関する情報は全て公開)。
  • 特区等における事業者選定において、その選定過程を国民に全て開示する。
  • 地方議員の政務活動費の公開と同様に、国会議員の「文書通信交通滞在費」の使途公開を義務付ける。

→ソース 政策パンフレット



【コメント】
 憲法に国民の知る権利を規定し、国や自治体の情報公開を進めるとしているので、「国」に国会と司法を含める趣旨なら、憲法改正前にぜひやってほしいところ。憲法改正しなければやらないということであれば、本気度が問われる。情報公開法や公文書管理法の改正として、非開示理由の絞り込み、恣意的廃棄の禁止などとしているのは、変えるべき点を明示しているので〇。ただ、この間の問題に引っ張られすぎているところがあり、特区や国有地だけでなく、政府における意思決定、政策決定の公開性、透明性が問題なので、ここに例示しているもの以外に何をするのかが不明確。行政に対する規制強化的な内容で、どのように行政組織の意思決定、政策決定のあり方た説明責任を向上させるのかなど、組織のあり方を変える、前向きにものごとを変えて機能する組織にするという点が弱い。文書通信交通費問題はぜひやってもらいたい点で〇。

日本維新の会


【公約】
<維新が提出した108法案 維新が政権とったらすべて実現します>
 〇身を切る改革・徹底行革・財政再建
 ・国民監査請求・国民訴訟法案
 ・国の財政運営における不要資産の活用・透明性向上法案
 〇政治改革
  ・公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律
 ・文通費使途公開・日割支給法案
 ・国会での自由討議復活法案
 ・政務活動費使途公開法案

<維新が変える改革メニュー13>
1 消費増税凍結。身を切る改革で教育無償化。政治家改革
(2)政治とカネ
 ・国会議員の文書通信交通滞在費(月100万円)の使途を公開する。
 ・政官接触ルールの内容・運用の厳格化。

3 国会改革
(1)政策競争の場としての立法府の実現
 ・委員会での法案審査は、質疑だけでなく、委員会の下に設置される小委員会で条文ごとの審査(逐条審査)を行い、修正案を作成する機会を制度化する。

→ソース 2017維新八策



【コメント】
 過去に国会に提出した法案を上げたり、「政官接触ルールの内容・運用の厳格化」と具体的に入れたり、「委員会での法案審査は、質疑だけでなく、委員会の下に設置される小委員会で条文ごとの審査(逐条審査)を行い、修正案を作成する機会を制度化する」と国会のアカウンタビリティにつながる提案があるのは〇。政治自らの問題に取り組むべきという視点が唯一に近くある公約。文書通信交通費もぜひ実現してもらいたいので〇。公文書管理法改正法案は、先の通常国会に提出をしているが、もう少し大局に立って練られてもよいのではないかという内容ではあったので、そのまま実現よりも開かれた議論を通じてより良くするという発想が欲しいところだが、公約なのでそこまで望むのは無理か。ある意味一番具体的ではある。

立憲民主党


【公約】
4 徹底して行政の情報の公開をします
 知ること、議論すること、そして声を上げること。それは民主主義の根本です。しかし、2012年に安倍政権が誕生してから、政治は一部の権力者に私物化され、大切な情報が隠ぺいされてきました。私たちは、現在の政治に違和感や怒り、不満を持つ人達の声を、しっかりと受け止めます。適切なルールに基づいて情報を公開し、オープンでクリーンな政治を実現します。
 ①政府の情報隠ぺい阻止、特定秘密保護法の廃止、情報公開法改正による行政の透明化

→ソース 政策パンフレット



【コメント】
 文章として示されたメッセージが、情報公開を通じた前向きな政府のあるべき姿を示す一方で、個別政策として示されたものがそれに必ずしも対応しきれていないのが残念。特定秘密保護法の廃止、情報公開法改正とあるが、公文書管理法改正には言及がない。情報隠ぺい阻止のの中身が書かれていないのでここが不明。情報の公開を受けた人びとが参加をするということで、「新しい公共の推進」(左では未引用)などを挙げているのは〇。

日本共産党


【公約】
1、森友・加計疑惑を徹底究明し、国政の私物化を許しません
 「国民の知る権利」の立場にたって、公文書管理と情報公開のあり方を根本からあらため、公正・公平な行政を確立します。

2、安保法制=戦争法、特定秘密保護法、共謀罪法を廃止し、立憲主義・民主主義・平和主義を取り戻します
 市民と野党が力をあわせ、安保法制=戦争法、秘密保護法、共謀罪法――3つの違憲立法をそろって廃止し、日本の政治に立憲主義・民主主義・平和主義を取り戻します。

→ソース 総選挙政策



【コメント】
 公文書管理と情報公開のあり方を根本から改めること、特定秘密保護法の廃止に言及している。公文書管理と情報公開は法改正ということだと思われる。「公正・公平な行政の確立」のための改正という趣旨なら〇。ただ、ここでは引用をしていないが、前後の文脈からはこの間の問題の追求のために行うとも読めてしまうのは、マイナス。

社会民主党


6 人権の花開く社会へ
〇「一億総監視社会」につながる「共謀罪法」は、直ちに廃止します。「特定秘密保護法」や「通信傍受法(盗聴法)」も即時廃止します。通信傍受の対象事件拡大や司法取引の導入は認めません。

10 「モリカケ」疑惑の徹底究明、権力の私物化を許さず、国民優先のクリーンな政治
〇国民の知る権利の観点で情報公開制度と公文書管理のあり方を見直し、透明で公正な行政をめざします。
〇大学・学部等の設置認可の審査においては、「加計学園」問題で指摘されるような「えこひいき」の疑いが生じないように公正な運営につとめ、審査のプロセスの透明化をはかります。
〇防衛省・自衛隊の体質、文民統制のあり方、国民の知る権利、PKO5原則に関わる重大問題である南スーダンPKO日報問題の徹底した全容解明と責任追及を続けていきます。

→ソース 2017年衆院選政策



【コメント】
 日本共産党と似た傾向の政策。情報公開は制度の見直し、公文書管理はあり方の見直しなのだが、両方とも法改正を意図しているのだろうか。透明で公正な行政を目指すという趣旨は〇。公正さや透明性の体現が個別の問題追及に集約されてしまうと、あまり良い制度議論にならないので、そうなってしまうとマイナス。

日本のこころを大切にする党は「重点政策」「衆議院選挙に向けての政策実例」を確認しましたが、記載が見当たりませんでした。

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