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2017衆議院選挙特集 

政治家は「説明責任」についてどういう考え方を持っている?
選ぶ前に立候補者に聞いてみたくありませんか

 突然の解散、その後の野党の流動化、直前までどこで誰がどの政党から立候補するのかなど、目まぐるしくものごとが動いていきました。そんな政治の動きに目を奪われていると、そもそも政治の世界で何が問われていたのかを忘れてしまいそうです。

 先の通常国会では、南スーダン日報問題、森友学園問題、加計学園問題があり、いずれも情報公開や公文書管理に関連する問題でした。しかし、問題になっていたのは情報公開制度や公文書管理制度だけでなく、それを運用し実施し、当事者である政府や政治家の説明責任に対する考え方、姿勢もです。

 情報公開や公文書管理で常に問題になるのは、行政の問題。確かに、情報公開法も公文書管理法も行政機関を主に対象にしています。しかし、行政に対して政治的にリーダーシップを発揮したり、さまざまな要望や要請、働きかけをしているのも政治家です。


 国会議員から総理大臣が選ばれ、大臣、副大臣、政務官になります。こうした人々の良いこともそうではないことも発揮したリーダーシップ、活動が公的に記録されて説明責任を果たす状況になっているのか、ということが先の通常国会では問題になりました。また、国会議員の働きかけやどのような意見や要望を行政にしたのかも、記録されて公開されるようにはなっていません。政治そのものが説明責任を果たす仕組みになり切れていないのです。

 このような中で、説明責任を果たすための仕組みであるはずの情報公開法や公文書管理法を、前向きに変えていこうという議論になっていかないのは当然です。国会議員の働きかけなどが、行政におけるものごとの決め方の中で記録されない、情報公開されないことで結果的に守られている。しかも、国会は情報公開法も公文書管理法もない。そういう状況を変えずに、行政が説明責任を果たすものごとの決め方、仕事の仕方に転換しきれないはずです。急な衆議院選挙だからこそ、各政党、各候補者の基本的考え方を、改めて問いかけませんか?



各政党の情報公開・公文書管理に関する公約とコメントを見る

立候補者に聞いてみよう

<質問>

質問1  国会議員などの公職者からの政府に対する要請、指示、働きかけなど(政官接触)が、原則として記録されて一定のタイミングで公開されることは、国政に携わる者として説明責任のために避けられないと考えますか?
 はい/いいえ/その他(   )
質問2  政府が法案を国会に提出する前に、政党に事前説明したり、協議したりしていますが、その内容は原則として記録されて公開されることは、国政に携わる者として説明責任を果たすために避けられないと考えますか?
 はい/いいえ/その他(   )
質問3  国会の議事録に記録されない、議員立法の法案策定過程、国会での法案修正の過程は、原則公文書として記録が残されることが必要だと考えますか?
 はい/いいえ/その他(   )
質問4  政府内での協議や打ち合わせ等の記録は、当事者間で合意できる範囲で記録することで足りると考えますか?
 はい/いいえ/その他(   )
質問5  総理大臣、内閣官房長官、副官房長官、総理補佐官、政務三役の活動は記録され、政権の記録として保存され、いずれ公開されることが必要だと考えますか?
 はい/いいえ/その他(   )
質問6  政府の信頼性を確保するためには公文書管理法、情報公開法の改正は必要だと考えますか?
 はい/いいえ/その他(   )
質問7  保存期間が1年未満の行政文書のあり方が問題になりましたが、行政文書は、政府が説明責任を果たす必要性がある期間は保存することを義務付けるべきと考えますか?
 はい/いいえ/その他(   )

 ※それぞれの質問に関連する現状は下記で説明をしてありますので、参照してください。

<質問方法>

  • すべての質問項目を質問する必要はありません。これは特に聞きたいというものを選んで質問してもOKです。
  • 立候補者がSNSのアカウントを持っていて、質問者もSNSのアカウントを持っている場合は、SNSを介して質問をすると質問したことも投稿とともに一緒に公開されるので、一つの選択肢です。投稿するときは、いつまでに回答が欲しいかを明示しておきます
  • SNSのアカウントを立候補者が持っていない、質問者が持っていないという場合は、選挙事務所あてにメールやFAXなどで送付して回答を依頼します。必ず、いつまでに回答が欲しいか依頼をする際には明示しておきます。
  • 選挙期間中は忙しいのでなかなか回答がもらえないと思いますが、回答が返ってきたらSNSやwebサイト、ブログなどで共有しましょう。
  • 質問を送った者の回答がなかったことや回答を断られたことも情報なので、そのこともSNSやwebサイト、ブログなどで共有しましょう。
  • 情報公開クリアリングハウスあてに回答内容や回答がなかったこと、断られたことを送ってもらえれば、当会のwebとSNSで公開します。
  • インターネット選挙で私たちができること、できないことが何かはこちらに説明がありますので、不安な人は確認をしておきましょう。
  • 不明なことなどありましたら、情報公開クリアリングハウスまで問合せてください。
  • 質問項目などをまとめた資料は以下からダウンロードできます。

 質問用紙などをダウンロードする

<各質問項目に関する現状>
質問1:国会議員からの政府に対する働きかけは「不当な働きかけ」の場合のみ記録される仕組みになっている(国家公務員制度改革基本法5条3項)。しかし、「政官接触 11省「記録なし」…作成ルール、有名無実化」(毎日 2016/2/24)で報じられ、そもそも記録が作成されていないところが多い。「不当」なものはないという判断のよう。また、「政官接触 内閣人事局、記録非公開 任意作成理由に」(毎日 2016/2/25)と公開されないこともある。加計学園問題を受けて、政府は内閣府事務次官通知(2017/9/21付)で、行政文書の正確性の確保として、打合せ等の記録を作成する場合は、相手方に内容の確認を求めることを原則とすることとし、政官双方の合意できる記録が行政文書として残されることになった。国会議員からの働きかけがあっても、議員の確認を経たものしか原則として記録に残らない仕組みになった。

質問2:例えば、安保法制についての国会法案提出前の与党プロジェクトチームなどへの事前説明・「協議」、野党への法案説明などの際にどのような意見や指摘が出されていたかについて、内閣官房国家安全保障局は行政文書を作成しておらず、文書不存在と決定(情報公開・個人情報保護審査会平成29年度(行情)答申第165号(2017/7/28))。一方、特定秘密保護法の国会法案提出前の与党プロジェクトチームなどへの事前説明・「協議」、野党への法案説明などの際にどのような意見や指摘が出されたかについては、内閣情報調査室が記録を作成しているが、全面不開示となっている(情報公開・個人情報保護審査会平成29年度(行情)答申第140号(2017/7/11))。

質問3:議員立法の法案立案過程は、国会議員、政党、衆参の法制局、外部が関与している場合は外部団体・個人などに分かれて所在している。政府提出法案の場合は、内閣法制局との法令審査、関係省庁との協議、審議会等が開催されていればその資料・記録と法案立案過程の行政文書が存在するが、議員立法の場合、そのような資料がまとまって公文書として保存されるようにはなっていない。議員立法の法案のうち、事前に政党間で協議して超党派で出す法案は、委員会提出法案となることが多いなので、審議なしで成立するものもある。議員立法法案が国会で審議をされることはまれなため、立法趣旨や規定の趣旨、立案過程などが説明され、記録されないことが多い。また、国会で法案を修正する場合も、委員会審議外で協議をすることが通常で、修正内容がまとまった段階で修正案が出てくる。そのため、修正過程は公文書として残っていない。本来は、委員会など審議の場で議論すべきではないかという課題がある。

質問4:加計学園問題を受けて、政府は内閣府事務次官通知(2017/9/21付)で、行政文書の正確性の確保として、行政機関内部での打ち合わせ、協議等についても複数の職員によるチェックを経ることとしており、行政機関内でも幹部が残してよいと判断した記録しか残らないことが懸念されている。

質問5:総理官邸、各行政機関の庁舎への入館記録は、翌日には廃棄されていることが国会で答弁されている。総理官邸については、入館のための届け出がされると、入館当日まで保存して用済み後すぐに廃棄している。情報公開請求する、入館の届け出が一部開示されるが、入構証を持っている者や国会議員、入り口まで出迎えを受けるような来庁者の分は含まれていない。政務や幹部の日程表は、現状では1年未満保存文書として短期的に廃棄されている。

質問6:南スーダン日報問題、森友学園問題、加計学園問題では公文書管理法、情報公開法のあり方が問題になっている。法制度の抜け穴となっている部分が不透明な行政文書の扱いを生み、その結果、情報公開法が適切に運用されないという問題もある。情報公開法は制定以来一度も改正されておらず、広い不開示範囲、不存在決定に対抗できない、不十分な救済制度などの問題などが解消されないままである。

質問7:森友学園問題、当初の南スーダン日報問題は、いずれも1年未満の保存期間であることを理由に行政文書を廃棄したというものだ。行政機関が必要か否かという判断で1年未満保存文書は随時廃棄されている実態であり、また、その1年未満保存としてどのような業務のどのような文書が存在しているのかということは、把握する方法がなくブラックボックス状態となっている。結果的に、森友学園では、5年間は会計検査院による検査の可能性があり、国有地売却契約が10年間分割払いであったにもかかわらず、契約締結直後に廃棄されたとされた。南スーダン日報は、PKO派遣期間中であるにも関わらず、1年未満であり必要なくなったから廃棄したと当初説明し、陸上自衛隊文書管理規則の定めを根拠に、1年未満廃棄で問題ないとの虚偽説明を繰り返し、最終的には日報データが発見されるだけでなく、日報が情報公開請求された時点でも存在していたことが明らかになっている。1年未満が情報隠蔽に利用されたケースだ。政府の説明責任を果たす期間は保存を義務付けることで、廃棄した場合は説明責任を果たす必要がないことを行政機関に立証させるなど何らかの対応は必要。

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