行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案についての意見




 2014年6月11日締切で、行政文書管理ガイドラインの改定に関するパブリックコメントが実施されていました。

 この改定は、閣僚会議等(国務大臣を構成員とするもの)の議事の記録の作成を義務付けるとともに、議事の記録について、開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者名及び発言内容を含むものとして定義づけるものです。

 この改定案に対して以下の通り意見を提出しました。

行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案について(PDF版)

****************

2014年6月10日


 行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案について

 特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス


 行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案について、以下の通り意見を申し述べます。

 

1 「議事の記録」には情報公開法の不開示事由に該当する事項も記載しなければならない旨を明確に示すべきである

【理由】
 現行の「議事録」を「発言者名を記載した議事録を作成する必要がある」としているものを、作成義務の対象を「議事の記録」とし、それを「開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者名及び発言内容を記載した」ものと改定される案が提示されている。議事録、議事概要、会議録などさまざまな名前で呼ばれている会議の記録は、同じ言葉を用いても記録される度合いはさまざまであり、何が記載されるべき事項であるかを明確に示したのは、前進として評価したい。

 一方、議事の「記録」という言葉は、行政文書管理ガイドライン改定に先立ち、「閣議等の記録の作成及び公表要領」(平成26年3月28日 内閣官房長官決定)において用いられているものである。「公表要領」では、「記録の記載事項」として、「開催日時、開催場所、出席者、議事結果、発言者名及び発言内容」としている。「議事結果」とガイドラインの「議題」という相違はあるものの含むべき内容は同じである。会議の議事の「記録」とは何かが定義づけられたのは、閣議等の記録に由来しており、閣議以外の閣僚会議等の記録にそのまま用いられたと理解できる。

 この閣議等の「記録」は、「閣議等から概ね3週間後に首相官邸ホームページに掲載することにより、公表する」(「閣議等の議事の記録の作成及び公表について」平成26年3月28日閣議決定)とされ、記録の公表・保存等については、情報公開法及び公文書管理法等の関連法令に則して適切に対応することとされている(同)。一見、情報公開法、公文書管理法に則した対応をすると表明されているように見えるが、内閣官房より情報公開請求の結果公開された「閣議等の議事の記録の作成手順」によると、記録の作成段階では「件名外案件及び情報公開法不開示事由該当事項を注記表示」とし、官房長官決裁後の公表段階では、「件名外案件及び情報公開法不開示事由該当事項は削除」と記載されている。

 これは、閣議等の記録に関しては、公表段階で記録から情報公開法不開示事由該当情報を削除するとするものである。真に不開示とすべき情報が記載されているのであれば、公表に際して不開示情報を省略すること自体は、不適切であるとは必ずしも言えない。しかしながら、当会が確認しているところによれば、不開示事由に該当する情報は、正規の記録からも削除され、そもそも記録として残されないことがわかっている。これは、情報公開法及び公文書管理法の趣旨や諸規定を没却するものである。情報公開法及び公文書管理法は、不開示情報も含めて記録は「合理的に跡付けられるように」作成すること、したがって不開示を一定範囲で認める仕組みである。記録されていない情報には、情報公開法は及ばない。また、不開示情報を記載しないということは、記録作成の観点からも「合理的に跡付け、又は検証することができる」ものとは言えない。

 閣議等という最高意思決定の場の記録作成で示した範が、不開示情報は記載しなくても「記録」であるということである。これまでも、会議の記録の作成が省略されている、記録内容が選別され重要なことが記録されていない、経緯がわからない概要のみなど、記録内容が政府の説明責任をまっとうするに足りないものであることがたびたび問題視されてきている。

 閣僚会議等についても議事の記録の作成を義務付けることは前進であるが、「記録」については情報公開法にいう不開示事由も記録すべきものであることを、行政文書管理ガイドラインの中で明確に示すことが、閣議等の記録作成の運用に伴う誤った認識を行政機関に広げないためにも必要である。

 また、閣議等、閣僚会議等以外にも、審議会等やその他の会議に関して、記録の公表を早期にすること自体は推奨されるべきものであり、公表のために不開示事由を省略したものを作成することは否定しないが、公表できる記録しか作成しないということは明らかに情報公開法を没却させ、公文書管理法の趣旨にも沿わないことを確認的に記載すべきである。

2 「議事の記録」に含む事項として、「配布資料」を含めるべきである

【理由】
 行政文書管理ガイドラインにおいては、会議の記録と配布資料は同じ行政文書ファイルで管理をしなければならないとはされていない。記録と配布資料は、相互に補完し合って初めて会議の内容がわかるものである。記録と配布資料が一体のファイルで管理をされることが義務づけられず、将来的に特定歴史公文書等として国立公文書館等に移管された場合には、具体的な行政文書ファイルの特例が必要になることを想定すると、記録に配布資料が記載されていることが、検証可能性を高めるために望ましい。

3 行政文書の保存期間基準に「閣議等の記録」を行政文書の類型に明示すべきである

【理由】
 「閣議」については、「閣議を求めるための決裁文書及び閣議に提出された文書」として行政文書類型が挙げられ、具体例として5点セットと閣議請議書等、案件表、配布資料が挙げられているが、閣議等の記録についての記載がない。閣議等について記録の作成を始めたのであるから保存期間基準表の含めるべきである。

4 行政文書の保存期間基準にある事項6、7に関して、「国務大臣を構成員とする会議に限る」は「国務大臣を構成員に含む会議に限る」とすべきである

【理由】
 「国務大臣を構成員とする会議」とすると、国務大臣のみを構成員とする会議であるのか、それとも国務大臣を構成員に含む会議なのかが判然としない。事項6は「関係行政機関の長で構成される会議の決定又は了解及びその経緯」であるが、行政機関の長には「国務大臣」と呼ばれる者以外も含まれることは自明である。また、省議等については国務大臣以外にも会議の構成員となるものがいる。

 「国務大臣を構成員とする会議に限る」とは限定条件を付しているものであるから、その趣旨は誰が読んでも誤解のないような記述とすべきである。

 以上

 

Print Friendly