福島県「県民健康管理調査」線量評価委員会資料

福島県「県民健康管理調査」に関して、「県民健康管理調査」検討委員会とは別に、線量評価委員会が設置されている。この委員会の資料等について、福島県ホームページでの掲載が確認できなかったため、情報公開請求を行い公開された資料だ。

線量評価委員会は2011年7月22日、11月22日、12月2日の3回開催されており、県民健康管理調査の問診票による線量評価について検討をしている。委員構成は以下のとおりとなっている。事務局は、福島県保健福祉部健康衛生総室。

上蓑 義明(理化学研究所仁科加速研究センター安全業務室室長)
木名瀬 栄(日本原子力研究開発機構安全研究センター主任研究員)
高橋 隆行(福島大学副学長(研究担当))
中村 尚司(東北大学名誉教授) ※座長
松田 尚樹(長崎大学先端生命科学研究支援センター教授)
山澤 弘実(名古屋大学大学院教授)

委員会の審議事項は以下とされている。

①線量評価のための線量マップに関すること
②線量評価のための住民行動調査に関すること
③線量評価結果のデータベースに関すること
④その他、線量評価に関すること

3回開かれた会議はいずれも経済産業省で行われており、仮に会議が公開で行われていても福島県民が傍聴することも困難であるが、議事録はなく、簡単な議事概要のみ作成されている。第1回、2回の会議で出された意見や質問に対しては、その次の会議(第2回と第3回)で「線量評価委員会におけるコメントに対する回答」としてどのような発言があったのかと、それに対する放医研の見解が示されている。この資料からは、会議の場で相応のやり取りや議論があったことが推測されるが、議事概要からはそのことはうかがえない。

また、線量評価の元となる情報については、3月12日~15日まではモニタリングデータがなく、14日まではSPEEDIの計算結果を用いて線量を推定することとしているが、15日に関しては、北西方面(飯館村方面)の線量上昇が十分に再現できないことから、先行調査では16日の文科省のモニタリングデータをそのまま用いて構築するとしている。

3月15日の北西方面の線量上昇がSPEEDIから十分再現できない原因としては、放出源情報が明らかではないことが挙げられており、この線量上昇の放出源が明らかとされたのは、2012年5月24日の東京電力の発表である。福島第一原発2号機の容器損傷が放出源と特定されたが、線量評価委員会は2011年12月の会議を最後に開催されていない。放出源情報が特定されたことによる線量評価の対応の要否は、公開された資料だけだと不明。

○第1回福島県県民健康管理調査線量評価委員会(2011年7月22日開催)

・議事次第・設置要綱・委員名簿・配布資料一覧
・資料1 県民健康管理調査の概要
・資料2 先行調査にかかる倫理審査用研究計画書
・資料3 県民健康管理調査基本調査問診票
・資料4 放医研線量評価システムの積算線量計算方法と今後の検討課題(放医研緊急時線量評価チーム)
・資料5 外部被ばく線量評価に係る対処方針について(案)(放医研緊急時線量評価チーム)
・資料6 先行調査(調査対象約28,000人のうち内部被ばく線量評価手法検討調査対象~180人)で線量評価を行う際の3月15日の線量率マップについて(放医研緊急時線量評価チーム)
・資料7 第1回線量計算技術検討会概要
・資料8 外部被ばく線量の評価方法の考え方(案)
・議事概要

○第2回福島県県民健康管理調査線量評価委員会(2011年11月22日開催)

・議事次第・配布資料一覧
・資料1 第1回線量評価委員会におけるコメントに対する回答
・資料2 放医研住民線量評価システムで用いる計算アルゴリズムについて(放医研緊急時線量評価チーム)
・資料3 避難行動のモデルケース別外部被ばく実効線量の試算について(放医研)
・資料4 問診票電子化入力ルールについて
・議事概要

○第3回福島県県民健康管理調査線量評価委員会(2011年12月2日開催)

・議事次第・配布資料一覧・委員名簿
・資料1 第2回線量評価委員会におけるコメントに対する回答
・資料2 放医研住民線量評価システムで用いる計算アルゴリズムについて(放医研緊急時線量評価チーム)
・資料3 避難行動のモデルケース別外部被ばく線量の試算について(放医研)
・議事概要

 

開示請求 2012年11月28日付
開示決定 2012年12月10日付
決定者 福島県知事
決定内容 全部公開
Print Friendly, PDF & Email