リリース 「甲状腺検査結果の本人開示を進めるために」

7月13日に、福島県民健康管理調査の一環で行われている、甲状腺検査結果の本人開示請求を行い、開示されたことについての記者会見が福島県庁内で行われました。

甲状腺検査の結果、のう胞等が見つかったものの、既定の数値以下の場合は、その結果のみが通知されるにとどまっていることから、検査結果そのものが開示請求されています。

甲状腺検査結果の本人開示について、望ましい方向性について、記者会見に合わせて当会の意見をまとめました。

甲状腺検査結果の本人開示を進めるために(pdf)

2012年7月13日
リリース

甲状腺検査結果の本人開示を進めるために

 福島県において、県民健康管理調査の一環として甲状腺検査が行われています。今年3月末現在で、検査を受けた子どもの0.5%が二次検査となり、結節やのう胞が認められたものの、二次検査とならなかった子どもが35.3%と発表されました。この検査結果については、判定結果と判定内容のみが検査を受けた子どもの保護者に通知されています。

 福島第一原子力発電所の事故の発生で、多くの人が被ばくの影響を不安に感じています。県民健康管理調査は、将来にわたる県民の健康を見守るためのものと説明されています。しかし、県民一人ひとりにとっては、見守られるだけではなく、自分自身、あるいは家族の健康状態について詳しく情報を得て、必要と思う対応・対策を選択し、自らの健康や心身の安全について考えるための機会と情報を提供することが重要です。

 今回、福島県民から子どもの検査結果の開示請求が出され、何らかの形で開示が実施されることになりました。福島県個人情報保護条例に基づく開示請求によって、県民自らが権利を行使したことに大きな意味があると考えますが、一方で、本人開示という手続・手段を取らないと、甲状腺検査結果の詳細を知ることができなかったという意味では、大きな政策的な欠陥があると考えます。

そこで、現に福島県が取りうる対応として以下のことを実施すべきです。

1 個人情報保護条例に基づく本人開示請求ではなく、少なくとも簡易開示という方法があり、早急に通常の開示請求ではなく簡易な開示の仕組みに移行すべき

 福島県個人情報保護条例第17条は、開示請求の特例について定めています。これは、実施機関が定めた個人情報については、通常の開示請求の手続きを取らずに、口頭での開示請求を行うことができるとするものです。

 一般的に口頭での開示が実施できる場合の基準としては、①本人開示需要が高いこと、②即時に対応が必要なもの、③情報が定型的で判断を一律に行えるもの、などとして判断されます。通常は、入試、資格試験、職員採用試験結果などを口頭での開示を行い場合としていることが多いですが、甲状腺検査結果については、本人や保護者からのニーズが高く、かつ一律の判断が可能です。課題があるとすれば、すぐに提供できる体制が整うかでありますが、これについても、情報の管理の方法などで対応が可能なのではないかと思われます。
検査の対象者は相当数に上りますので、個別の開示請求を受け付けて対応するのではなく、より簡易な方法での開示を進めるべきであり、条例はそれができるよう規定が設けられています。この規定に基づき、適切な対応を福島県及び福島県立医大は取るべきです。

2 検査時に、詳細情報の提供希望の有無も確認し、希望者には送付される仕組みを

 甲状腺検査結果についての口頭での簡易開示は、福島県個人情報保護条例の規定に基づき、すぐにでもできることとして早急に対応すべきだと思いますが、本来であれば、検査実施時に、情報提供の希望の有無を確認し、希望者については通知される仕組みを取るべきです。そのために必要な予算上の措置なども含めて、仕組みとして機能するよう、今年度中に方策を検討して必要な対応を取るべきです。

以上

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