政府における東日本大震災・福島第一原子力発電所事故に関する経緯、意思決定過程の記録作成にあたっての要望

リリース
2012年2月3日

 2012年2月2日付で、添付の通り「政府における東日本大震災・福島第一原子力発電所事故に関する経緯、意思決定過程の記録作成にあたっての要望」を、内閣総理大臣、内閣府特命大臣(公文書管理担当)あてに送付しました(特定記録にて、2月3日に到達を確認済み)。

 要望の背景は以下の通りです。


 

  1. 原子力災害対策本部をはじめ、このたびの東日本大震災、福島原子力発電所事故に関する政府の関係会議が、議事録を作成していないことが明らかになりました。
  2. 当会では、2011年12月22日付で、「政府・東京電力統合対策室等の活動にかかる情報の保存・管理についての要望」を行っており、原発事故の司令塔的な役割を担う、対策室の文書の作成、保存について問題提起し、要望を行ってきました。
  3. このたび、政府において、東日本大震災、福島原発事故に関する会議の記録をこれから作成するという方針が示されました。事後的な記録の作成は、これから政府内において何を記録を残すのかという選択を行うことになります。
  4. 以上のことから、記録の作成が情報操作とならないよう、その過程をオープンにすること、また、公文書管理法が2011年4月に施行され、その規定に基づく内閣総理大臣の権限を行使することもあわせて要望することにいたしました。

以上

 
政府における東日本大震災・福島第一原子力発電所事故に関する経緯、意思決定過程の記録作成にあたっての要望


 2012年2月2日

内閣総理大臣  野田 佳彦 様
内閣府特命大臣(公文書管理担当) 岡田 克也 様

特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
理事長 三木 由希子

政府における東日本大震災・福島第一原子力発電所事故に関する経緯、
意思決定過程の記録作成にあたっての要望

 当会は、市民の知る権利の擁護と確立を目指して活動する特定非営利活動法人です。
 原子力災害対策本部の意思決定過程の議事録の不存在問題から、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故をめぐる重要会議について、議事録が作成されていないことが明らかになりました。
 当会では、とりわけ政府と東京電力による統合対策本部(後に統合対策室)の組織としての位置づけから、扱う文書が政府の「公文書」と東京電力の作成・取得した「私文書」の両方が存在すると考えられ、その文書の管理の在り方は、何が「公文書」となるのかという問題と直結することから、この問題に以前から着目し、過去に意見表明を行ってきました(2011年12月22日付「政府・東京電力統合対策室等の活動にかかる情報の保存・管理についての要望」)。
 このたび、公文書管理担当である岡田副総理から、東日本大震災と福島原子力発電所事故に関する重要会議について、議事録の作成状況の調査及び意思決定の経緯の記録作成について指示が出されました。このことは、政府がようやく公文書管理法に基づく義務を果たす姿勢を示し、政府の有するアカウンタビリティを果たすために最低限必要な対応を行う一歩として、歓迎しているところです。
 一方で、この動きに付随して懸念を持っています。それは、跡付け的に記録を作成し、経緯をまとめるということは、政府や当時現場で対応を行っていた立場から、記録として残すべき範囲や内容が選別されることを意味するからです。東日本大震災や福島第一原発事故に関する対応の経緯や意思決定過程が何に基づき、誰が、どのように記録化していくのかの見える化をしていかなければ、一定の立場から選別された記録となり、ひいては「情報操作」となりかねません。
 そこで、今般の災害等の被害の甚大さをかんがみ、後世に記録作成の面で禍根を残すことのないよう、以下の通り要望いたします。

  1. 東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の対応にかかる重要会議の経緯、意思決定過程について、メモ、備忘録、重要会議に関わる関係省庁にされた報告などそのようなものが存在しているのかを調査し、その結果を公表すること。
  2. どのようなメモ、備忘録、報告に基づき誰が記録を作成するのか、その方法・経緯を公開すること。
  3. 前2項目を適切に行うため、公文書管理法第9 条第3 項の規定に基づき、早急に行政文書の管理状況の報告・資料の提出を担当大臣に対して求め、また、職員に実地調査をさせること。
  4. 前項の調査・報告等を踏まえ、必要があるときは公文書管理法第31 条の規定に基づく勧告を行い、勧告の結果とられた措置について報告を求め、それを公表すること。

 なお、当会は2011年12月22日付で、政府・東京電力統合対策室(従前は対策本部)については、内閣総理大臣及び内閣府特命大臣(原子力担当相)にあてて、以下の事項を要望しています。合わせて再掲し、改めて要望いたします。

  1. 政府・東京電力統合対策室(「福島原子力発電所事故対策統合本部」も含む)の活動にかかる文書(あらゆる媒体のもの。以下同じ)は、東京電力が作成・取得したものも含めて、「公文書」としてすべて保存・管理すること。
  2. 解散した政府・東京電力統合対策室(「福島原子力発電所事故対策統合本部」も含む)の活動にかかる文書と思慮される文書の範囲を確定するため、文書の廃棄・消去を禁止し、個人メモも含めてすべてをいったん集約し、その上で活動に対する説明責任を果たすために必要な範囲を公文書として、早急に公文書管理法の規定に基づく管理体制を整備すること。
  3. 内閣総理大臣は、公文書管理法第9 条第3 項の規定に基づき、前2 項目を適切に実施するため、早急に行政文書の管理状況の報告・資料の提出を担当大臣に対して求め、また、職員に実地調査をさせること。
  4. 前項の調査・報告等を踏まえ、必要があるときは公文書管理法第31 条の規定に基づく勧告を行い、勧告の結果とられた措置について報告を求め、それを公表すること。

以上

◆連絡先
特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス
〒160-0008 東京都新宿区三栄町16-4 芝本マンション403
TEL.03-5269-1846 FAX.03-5269-0944 

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