各行政機関の行政文書管理の点検・監査項目調査(速報)

 公文書管理法の見直しの検討が公文書管理委員会で行われています。

 最近の例でも、集団的自衛権の閣議決定に関して意見を聞かれた内閣法制局の検討過程の記録が残っていない、原子力規制委員会が発足以来、法律で義務付けられている行政文書ファイル管理簿の公表をしていないなど、法運用上の問題が明らかになっています。

 公文書管理法のもとでは、各行政機関は年1回以上の点検・監査を行うとされています。点検・監査により問題が見つかり改善措置が講じられることもあります。その概要は、毎年1回発表される「公文書等の管理の状況」で確認できます。しかし、何を点検・監査をしているのかという項目は明らかにされず、点検・監査の実施の有無と、指摘事項と改善状況のみがわかるだけです。

 点検・監査は、公文書の管理に係る制度上の義務や運用上のルールなどの実行状況を確認していくべきものです。しかし、何を点検・監査をしているかがわからなければ、点検等をするべき事項が対象となっているのか確認ができません。

 行政文書の管理の実態をつかまずに、法改正の議論をしても実質的な議論ができないのではないかと考え、各行政機関に点検・監査項目の情報公開請求を8月から行ってきました。10月下旬に最後まで開示が実施されなかった防衛省から文書が届き、速報として各行政機関の点検・監査項目をまとめました。

 結論としては、相当にばらつきがあり、同じ法制度に関する点検・監査とは思えない行政機関もあったということです。

 今回の調査で項目の取りまとめをしたのは以下の行政機関です。

内閣官房、内閣法制局、人事院、復興庁、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、公安調査庁、検察庁、外務省、財務省、国税庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、特許庁、国土交通省、
海上保安庁、環境省、原子力規制委員会、防衛省、会計検査院

 点検・監査項目が、公文書管理法、施行令、行政文書管理ガイドライン及び行政文書管理規則で義務付けられている管理上のルールについて、どの程度実施をしているのかをスコア化したところ、以下の行政機関で特にスコアが低い結果となりました。

  金融庁(9点/68点)
  復興庁・厚生労働省・特許庁(各15点/68点)
  内閣法制局(16点/68点)
  原子力規制委員会(18点/68点)

 調査結果の全文はこちらからダウンロードできます。 

 点検・監査の項目は、公文書管理法の実施に関する質にかかわる問題であります。公文書管理の点検・監査を十分にしていない行政機関がある中で、これまでの点検・監査結果から法の履行状況について評価・判断するのは明らかにおかしいと考えています。今後、点検・監査について公文書管理法とそのもとのガイドライン等の遵守について、共通化した項目をもとに点検・評価をしたうえで見直し検討を行うこととともに、各行政機関に対して改善を求める要望などを行う予定です。

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